工事目的

砂防とは...

山の斜面や川底・川岸などから流出する土砂を貯めて川の水の流れをゆるくしたり、斜面崩壊や川の侵食が進むのを防いだり、一度に大量の土砂が下流に流れ出て災害をおこさないように土砂の流出量をコントロールします。


砂防堰堤(さぼうえんてい)の役割

社長

小さな渓流などに設置される土砂災害防止のための設備(砂防設備)のひとつです。一般のダムとは異なり、土砂災害の防止に特化したものを指します。一般的なダムに酷似しているのですが、原則としては貯水機能は持ちません(ここが一般的なダムとの違いです)。
また、提体の上流側に砂礫を堆積させ、それにより河川勾配を緩やかにさせ、その河川の侵食力を小さくするためです。
堰堤内に土砂が貯まり満砂状態になった場合でも、土石流発生時は河床勾配が緩やかになるため貯砂量の10~50%程度の土砂を貯めることが可能とされています。
すなわち、大雨などにより流れてくる土砂を防ぐこと。また、土砂が貯まることによって、川底や川岸が削られるのを防ぎます。
このことによって、急流な川の流れになるところを勾配がゆるくなることで水の流れが遅くなります。
結果、平野部において土石流をはじめとする土砂災害の防止につながります。


富山県における砂防堰堤

現在でも、流出すれば富山平野が1 - 2メートルは埋没してしまうといわれるほどの大量の土砂(約2億 m3, 黒部ダムの総貯水量約2億トンとほぼ同じ量)が立山カルデラに残っています。
そのため、流出防止のため大規模な砂防工事が現在も行われています。
工事が完了する期限は無期限と現在では考えられています。
原因は、火山灰が大量に堆積し生成された土砂の地質のため、砂防ダムを建設しても「土砂の上にコンクリートのダムを造っている」ような大自然から考えると脆弱なものであり、完全に流出防止させることはその土砂の堆積量からも不可能とされているためです。
工事中および休止中でも立山カルデラの様子は24時間態勢でカルデラ内各所に設置された監視カメラで監視されています。
また、不意の事態の場合には、山道を使っての避難やヘリコプターによる避難の態勢が取られていて、10 km以上離れた立山駅周辺においても、カルデラ砂防博物館屋上からヘリコプターで避難できるようになっています。そのため、立山カルデラの砂防工事は世界的にも有名になっています。