2007年7月(社内回覧書類より抜粋)

7月後半となりましたが、気温は一向に上がらず、北陸の梅雨独特の天気に毎日うんざりとしております。業務は順調に推移している事、皆様の頑張りに心より感謝を申し上げます。

今月は、戸田顕司(とだ けんじ:日経ビジネス記者)の著書で、牛丼で有名な吉野家の現社長、安部修仁氏について書かれた「吉野家 安部修仁 逆境の経営学」より抜粋させて頂きます。

吉野家は1980年に会社更生法を適用、その危機を乗り越え再建、1987年更生手続き終結、1990年株式公開、しかし、2004年の米国産牛肉の輸入停止により、主力商品の牛丼が出せない…という危機にも関わらず、見事に危機を乗り越えて現在に至っています。その中でも、安部氏は高校卒業後アルバイトで吉野家にて働き始め、店長・部長を務め、1985年取締役、1992年42歳で吉野家ディー・アンド・シーの社長に就任という異例の経歴の持ち主でもあります。

モチベーション 5%の社員が決める

会社組織には、必ず士気の高い社員がいます。どういう状況で何をやらせても、「やってよかった」と思うタイプです。自らの経験から何かを学んで、次に取組む仕事に生かしていく。彼らを「正」の存在とすれば、残念ながら、そうでない社員も会社にはいます。「負」の存在です。彼らはどういう状況下にあっても、不平不満や愚痴といった否定論ばかりを言っています。

ただし、どちらも全体から見れば例外的な存在です。割合にして、それぞれ5%でしょう。問題は、残りの90%の大多数です。彼らは、トップマネジメントによって正にも、負にも動きます。ただ、環境が悪い時(逆境時)には負の存在が述べる否定論は皆も同調しやすいので、放っておくと、過半数が負の存在に染まってダメな方向へ流れていってしまいます。そうすると、社員の多くが不満を抱えているだけの悪しき組織になります。

トップマネジメントが否定論を真に受けてしまって、ミスリードしてしまうケースも多いのが現状です。特に悪しき状況(逆境時)では、間違えた否定論が声高に唱えられる事が多く見受けられます。

ブランディング 変えてはならないものがある

企業(組織)は往々にして、何かを変えようとしたがります。しかし、私の考え方は、逆です。まず、変えるべきでないものを決めます。それ以外を変えていきます。

過去に分類整理したことがありますが、変えてはいけないものは膨大にあるわけではありません。例えば、吉野家のコンセプトは「うまい、やすい、はやい」です。この3要素は変えません。

お客さんの期待はここにありますから。

ただし、優先順位は、市場環境に応じて変えていきます。創業当初は「はやい、うまい、やすい」でした。まず、早さありき、だったのです。店舗数を増やしていくにつれて、松田社長(吉野家を多店舗化、現在の吉野家の事実上の創業者)は「安さが最優先」と言うようになりました。倒産を契機に、度を越した安さを見直して、味の向上に努めてきました。デフレ時代を迎えて、再び安さに焦点を当てました。

企業(組織)には変えてはいけないものがあるのです。人(経営者・リーダー)が代わっても価値が損なわれないようにすることが重要です。

建設会社の殆どが逆境の真ん中にいます。その中で、どうやって生き残っていくか。トップマネジメントの重要性を感じると共に、当社の「変えてはならないもの」(品質であり、品質を維持する誠実勤勉な当社の社風)を確実に継承し的確に判断し、それに類するものを如何に順序付けしていくかが課題かと感じ、皆様と頑張っていきたいと思っています。社員の皆様が、それぞれの立場で、それぞれの感性で当社の「変えてはならないもの」を感じ、考えて頂きたいと思います。

2007年7月25日

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