2007年9月(社内回覧書類より抜粋)

9月も終盤ですが、まだまだ今夏の酷暑の勢いなのか、ずらずらと残暑の日が続いております。社員の皆様には日夜業務遂行に向け努力をして頂いているわけではありますが、体調管理に気を付けて頂き、充実した毎日を送って頂けるよう切に願っております。

また、10月1日からは、「全国労働衛生週間」も始まります。“こころにゆとり からだに余裕 みんなでつくる 健康職場”のスローガンのもとよろしくお願い致します。

今月は、パコ・ムーロ(大手コンサル会社会長)の著書「なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?」の多くの短編の中より「こだわりの異なる3人の社長の選択」を抜粋させて頂きます。全部で13の短編で構成されている書物ですが、大変面白く読むことが出来ました。

「こだわりの異なる3人の社長の選択」

あるとき3人の仲間が会社をつくろうと決心した。しかし、3人それぞれに会社づくりの計画があり、それぞれが、大事なことと些細なことについて独自の考え方を持っていた。

3人は志向も異なれば、得意分野も異なっていた。

そこで3人はたもとを分かち、それぞれが自分のやり方で計画を実行することにした。

1人目はご都合主義の男。早く会社を起こしたくてうずうずしていた彼は、みすぼらしい建物に社屋を構え、少人数の社員、最小限の資金でスタートすることにした。男は数日で会社を立ち上げ、あっという間に最初の収入を手に入れた。彼の会社は安い料金で仕事を請け負ったので、たちまち顧客を引きつけた。彼のする仕事は二流でしかなかったが、顧客の回転率が高かったので、それは気づかれないままだった。

2人目は、イメージと見かけにこだわる男だった。

彼は、社外イメージを良く見せることにひたすら力を注いだ。業務内容をこと細かに知らせるパンフレットをつくり、人目を引くオフィスを借り、リッチな雰囲気を演出した。しかし内実は、1人目の男の会社とあまり変わりはなかった。会社の立ち上げは1人目の男より時間がかかったが、数週間遅れで収入をあげはじめた。会社のイメージが非常によかったので、大きなプロジェクトをいくつか獲得できた。その結果、仕事をはじめたばかりの時期に法外な利益を手にすることになった。

3人目の男は、とにかくしっかりした会社をつくりたいと思っていた。頑丈な社屋、品質へのこだわり、企業文化と本物志向の精神、そして優秀な社員。こうしたものを備えた会社にしたかった。慎重な性格も手伝って、わずかな稼ぎも会社の改善と強化に注ぎ込んだ。彼は顧客に配慮し、仕事の質にこだわったので、収益を生むペースが遅く、彼の仲間たちからバカにされるありさまだった。

しかし、その後、彼らの業界は重大な危機にみまわれ、大きな打撃をこうむった。

1人目の男の会社は、危機の気配が漂っただけで、簡単に崩壊してしまった。もともと固定客がいなかったところへ不況が追い討ちをかけたので、会社はたちまち逆風にさらされ、男は破産に追い込まれた。

2人目の男の会社は、業界が危機に陥ったころに、委託された仕事に遅れが出たことで、顧客からの不満の声が出はじめた。そして彼の会社には請け負ったプロジェクトをやり遂げる力がないことが明らかになり、彼は不利な状況に追い込まれた。会社のイメージの信憑性がなくなったところに、不況で注文も減り、ついには倒産に追い込まれた。

3人目の男の会社は、危機の影響をまともに受けていたが、労を惜しまず質にこだわる仕事ぶりで、すでに顧客からの信頼を獲得していたため、不況下にあっても持ちこたえていた。起業家としての資質も備わっていた彼は、逆風に阻まれるどころか、不況のなかでも新しい顧客を次々に獲得していた。彼は業界の逆風の中ダメージをほとんど受けないまま抜け出し、そして、業界が好況を取り戻すと、会社を一段と強固で頑丈なものにつくり直した。

現在の建設業界をとりまく環境と、当社の生き残りを考えた上で非常に参考になる文章だと思いました。当社は、常に堅実で品質にこだわった企業として歩んできた歴史があります。この歴史を大切にして今後とも皆様と一緒に頑張っていきたいと思います。

2007年9月25日

上田信和

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