2007年10月(社内回覧書類より抜粋)

10月に入り、急に秋らしくなりました。特に朝晩の冷え込みには体調の維持に努力を要します。また、業務多忙のおり、季節の変わり目とあいまって注意力・体力とも低下し、思わぬ事故が発生する可能性も高くなります。体調管理には十分に気を付けて頂けるようよろしくお願い致します。

今月は、「品格」という言葉が良く使われている昨今、皆木和義(経営コンサルタント)氏より「企業の品格」というテーマの本が出版されていましたので引用させていただきます。

「価格勝負ではなく、品格で勝負!」

今や世間に定着した感のある「品格」という言葉ですが、本来の意味は「人や物に備わっている気高さや上品さ」であり、「企業の品格」といえば、その企業が本来持っている精神や主張であり、企業のあり方へのこだわり、その企業の理想的な「企業らしさ」ともいえます。

最近、その企業の品格が危うくなっています。様々な形でないがしろにされています。

「良いものを安く売って利潤を増やす」ことはビジネスの根本的なセオリーですが、その根本原理にとらわれ過ぎて、なりふり構わず競争原理に没頭すると、企業の品格を失うことになります。それが企業のつまずきや挫折につながっている実例が多く見受けられます。

本来、品格とは継承されるべきもので、世代を超えて引き継がれるからこそ価値があるのです。武士道という日本人の精神は数百年にわたって日本人の精神形成の中核となってきました。海外においても、武士道精神は絶賛され、広く支持されています。長い間にわたって日本人の品格として継承されていたからこそだといえます。

利潤追求にのみ血道を上げて、引き継がれるべき品格を失っては、企業として骨抜きになってしまいます。企業の精神に脈々と流れ続けている精神、いつの時代も変わることのない存在理由を改めて確認し、それをいかに継承していくのか。そこを無視しては、品格も、そして企業の存続と継承もありえないのです。

勝利への執念と品格

ビジネスにおいて、もっとも大きな原動力になるのは「勝つ」という意思です。これがなければビジネスの成功、はありません。「勝つ」とは、サービスの内容、商品の優秀さ、価格の安さなど、あらゆる点において他社よりも抜きん出ていなければ勝つことはできません。

しかし理屈でわかっていても、それを実現するのは難しいことです。

「なりふり構わず」では、それこそ企業の品格が荒んでいくことにもなりかねません。

「勝ちたいのは山々だ。といっても、品格やプライドなどを捨ててまでは、ちょっと…」

そういう考えもあるでしょう。それは人間として、至極正しい感覚であり、勝つことよりも企業としての品格やプライドを優先させることは正論に思えます。しかし、それは「スキ」につながる可能性もあります。

もしもライバルが品格など無関係にがむしゃらに戦ってきたら、「スキ」がある企業はひとたまりもないでしょう。

そう考えれば、結局最後に勝つのは、「手段を選ばず、勝つことに徹底的に執着した者」ということになります。しかし、現実的に、ただ単に勝つことへの執念だけではビジネスは難しいといえます。なりふり構わず、ひたすら利潤だけを追求し、汚い手を使ってでも、品格を捨ててでもビジネスで成功を収めたいと思えば、それは決して不可能ではありません。しかし、その分リスクは大きくなり、そのリスクに対するツケは大きいのです。

そこで、真の意味での「勝つ」道を考えなければなりません。それは「自分に勝つ」ということで、企業における「勝つ」ことの意味を改めてとらえ直す必要があります。

われわれは「勝つ」ことへの執念と品格を両立させなければなりません。

すなわち、常に善なる正しい心で、勝利に執念を燃やせるか、それが企業の真の原動力となります。

『源平盛衰記』にはこんな示唆に富んだ言葉があります。

「徳を以って人に勝つ者は栄え、力を以って人に勝つ者は亡ぶ」

多くの勝負事がそうであるように、ビジネスもまた、力で相手をねじ伏せることも不可能ではないかもしれません。

しかし、それは真の勝利ではない。

「徳」を生かして勝つことこそが重要なのです。

2007年10月25日

上田 信和

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