2007年11月(社内回覧書類より抜粋)

11月に入り、いよいよ積雪が心配になる季節となりました。朝晩の冷え込みが厳しくなっております。現業にて業務に尽力いただいている皆様には特に厳しい季節となってきました。健康に留意し、年末までの厳しい時期を全社一丸となってみんなで乗り切りましょう。

私自身、昨年の12月に社長に就任して以来、あっという間の一年が過ぎようとしています。就任以来、日々充実した毎日を過ごさせて頂いております。先日より、あらためて「砺波工業50年史」を持ち出し読み返してみました。昭和19年に会社として発足以来、63年という年月が過ぎようとしています。多くの先輩方の知恵と努力と英断により今の会社が存在していることを改めて感じることができました。

私自身で、8代目の社長となります。この厳しい時代を、皆さんと一緒に社業の発展のため努力出来る事に感謝し、日々をより充実させ大切に過ごしていきたいと感じました。

今月は、その「砺波工業50年史」より印象に残った文章を記させていただきます。

どんな業界でも小さな取引から始まって大きな取引に拡大してゆくのが商売成功の条件であるが、特に建設業はこのことが重大になる。いくら言葉巧みに施工主を懐柔しても、肝心の工事内容がいい加減なものであれば、取引は膨らんでいくどころか打ち切られてしまう。

とりわけ当社は地域社会に根ざして生きてきた会社であり、地域社会を離れて生きる地盤はない。地元で評判が悪くても新しく商圏を開拓すればよいというわけにはいかないのである。その業績の大半を富山県下、中でも砺波地方に重点をおいている当社は、地域社会からの評判がすべてを支配する。細い糸がつながれば、それを大事に大事に育てて太い綱にしていかなければならない。

(当社の歴史、受注高が年々上昇していく時代を振り返って)

「営業と施工が表裏一体化していかねばならぬ。営業マンが営業でどしどし成績をあげてくれても、施工する人がいい成績をあげてくれなければならない。特に当社は民間工事が多い、民需は電話一本でも、道で会ったときの依頼でも注意しなければならない。アフターサービスを特に忘れてはなりません。」

(昭和42年の新年での社長訓示より)

「受注量を多くするには価格を安くする。価格を安くすれば施工面で欠損の累積となる。正に二律背反とはこのことである。幸い我社には一人ひとりがこの危機感を身近に感じて奮闘してくれることは嬉しい。今のところ我社を支えてくれるのは長らく培ってきた信用である。砺波工業は安くても安心して工事を任せられるという信用を持っているからです。」

(昭和51年の新年での社長訓示)

『疾風に勁草を知る』 (しっぷうにけいそうをしる)という中国の古いことわざがあります。

「勁草」とは、強い草です。風のおだやかな日には、強い草も弱い草も区別はつきませんが、だが、ひとたび疾風が吹き荒れると、弱い草は地べたに這いつくばってしまうが、強い草は叩かれても叩かれても、頭を上げてまっすぐに立とうとする。疾風の吹き荒れる日にこそ、勁草の真価が発揮される。との意味です。

人間もそして企業もそれと同じことだと思います。平穏無事な日々には、強い人間(企業)も弱い人間(企業)も見分けがつかない。困難や逆境に出会ったときに、はじめてその人間(企業)の真価が発揮されるのです。

今がその疾風の吹き荒れる時代。勁草の様に強く頑張っていきたいものだと思います。

2007年11月22日

上田 信和

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