2009年3月(社内回覧書類より抜粋)
新しい年度に入り、桜の開花宣言とともに、卒業や入学、入社の話題がとりただされる時期となりました。当社としても、不況下ではありますが4月1日より、土木部、建築両部に1人ずつ技術系社員の採用を決定し新しい仲間として一緒に頑張ってもらうこととなりました。また、高岡市の施設である「おとぎの森」においても4名の新しい雇用をさせていただくことになりました。とかく、非正規社員や派遣社員の取扱い方が報道されている昨今、地域の活力となる雇用の創出ができるのも皆様方の頑張りにあると感じ感謝いたしております。会社としても新規顧客の開拓を通して受注に向け全社一丸となり新しい期に向けて頑張っていきたいと思っています。
さて、先日来、横道直著の「松下幸之助 危機の決断 伝説の熱海会談」を読む機会がありました。素晴らしい経営者として誰にも知られている松下氏の生き様、そして不況下での企業の舵取りの仕方を学びたく読ませていただきました。その中より「景気によし、不景気によし」という言葉のもとで以下の文章が書かれていました。
コスト高になったものが上がっただけ売れていけばマシですけども、さらに売れないことになれば行き詰まりができてくるんですね。そういうことから、中小企業の倒産が相当増えてくるのやないかと思うんです。これが今われわれが当面している経済界の姿やないかと思うんです。
そういう間には、機械の手入れでもするとかなんとかして、次に備えるということもできますし、むしろそういう意味において好ましい時代である。不景気はわれわれを休養させてくれる時代である。ものを考えさせてくれる時代である。それをどう見るかということは、経営者の方々の自己認識によって判定しなくては仕方がないと思うんです。
“もう今まで、忙しくて仕方なかったんや。もう休みたいと思ってたんや。けれど、そんな忙しい時に休むのはいかん。幸いなるかな、多少ひまになったから、この機会にちょっと温泉でも行ってこようか”ということですな。そうしてみると、ちょっとも心配なんかない。まあ、景気によし、不景気によしということが、われわれ商売人に常に与えられている立場やと思います。
そういうことを考えて、自分の50年の歴史を顧みますと、松下電器の過去は、景気によし、不景気によしですな。景気には大いに一生懸命働く。不景気にはやれやれ幸い休養できたから、この際にひとつこういうこともやっておこう、ああいうこともやっておこうというのが、後日の戦いというか、仕事の準備になりますからね。これまた心の上でも、工場の上にも、製品の開発をする上においても、非常にプラスになる。そういうことで上昇の一途をたどったと申していいんですね。
やっぱり、その時の考えですね。いろんなめまぐるしい変化がありますけど、変化にまた応じていく。相応じていくことができない人は、それは経営者やないということですな。経営者の適正を持っておらん人です。これはもうやむをえないし、むしろ、その人としては他に転出して所を得る機会を与えられたことである。これもまたよろしという見方もできると思うんですね。
だから、経営の適格者であれば、景気によし、不景気によしということを自由自在に行使できると思うんです。
ピンチはチャンスという言葉もあります。不景気と言われるこういう時期だからこそ、社内における問題、課題が見え、それについて改善ができるのだと思います。また、すべてにおいて変化の激しい時期です。変化への対応が出来る組織にしていく良い時期でもあるかと思っています。そういう意味で、新年度より、さらに前向きに取り組んでいくつもりですのでご理解とご協力をお願いします。
2009年3月25日
上田 信和