2009年8月(社内回覧書類より抜粋)

 今年の夏は、気にしていた熱中症についても心配が要らないかと思うような涼しい日が続いていたのですが、盆休後は8月も終わりだというのに暑い日々が続くようになりました。現場で働く皆様、そして作業員の方々においても、疲れもたまりやすく、つい安全管理に対する集中力も途切れがちになります。より安全に配慮した作業環境の整備に努めていただきますようお願いいたします。

さて、株式会社ワタミの創業者である渡邉 美樹の著書「「戦う組織」の作り方」を読む機会を得ました。自分の考えを貫きサクセスストーリーを築いた企業の経営者としての考え方を新しく学ぶ良い機会を得られたと考えます。著書の中に自分の器を大きくする「思考の三原則」との記述がありました。自分自身の成長が企業の成長につながるという考え方を基本にしている自分にとっては考えさせられる部分であったのでここに記述させていただきます。

自分の器を大きくする「思考の三原則」

物事を深く考えなくてはならない状況下では、東洋思想家の安岡正篤氏の説いた「思考の三原則」を用いる。

「思考の三原則」とは以下のとおりである。
① 目先にとらわれないで、出来るだけ長い目で見ること
② 物事の一面にとらわれないで、できるだけ多面的に、でき得れば全面的に見ること
③ 何事によらず枝葉末節にとらわれず、根本的に考えること

この三原則は部下の資質や能力を見極めることにも利用できる。
まず、①によると、部下の現在の状態だけで、その人が備えている資質や能力を判断しないことが必要であるということを表しています。今は失敗ばかりで結果はまったく出ていなかったとしても、大きく脱皮をする前のサナギの状態なのかもしれません。できるだけ長い目で、今後の部下の可能性を考えてみる必要があるということです。
また、②においては、部下の資質や能力をできるだけ多面的にそして全面的に見ることが必要であるということを表しています。自分の価値観に無理矢理はめ込むのではなく、より多面的に見ることが重要であり、ある結論に達したときにそこで思考を終わらせるのではなく、違う発想はできないだろうかと再考する、そうすることで自分自身の狭い思考の枠を超えることができます。今まで気づかなかった部下の可能性を発見するチャンスが生まれるわけである。
そして、③においては「遅刻が多い」とか「やる気を失っている」といった表面的な現象のみにとらわれるのではなく、なぜそうなっているのか、根本的に考えることの必要性を表しています。もちろん、その人の個人的な問題であることは多いとは思いますが、もしかすると職場の環境が部下の勤労意欲を失わせているものになっているのではないか。その根本的な原因を見極める必要があり、その根本的な理由を排除しない限り解決はできないし、解決方法も見つからないことになるわけです。
人は基本的に勝手に育っていくものです。しかし、自らが伸びていこうとする部下に、伸びるきっかけを与えられるか、それとも成長の芽を潰してしまうかは、リーダー次第であるということを考える必要があります。
それこそ、リーダーの人間としての器の大きさが問われています。

リーダーのあり方として改めて自分自身を見直す必要があることを考えさせられました。しかしながら、これはある意味、社員(部下)が成長していくということを大前提として考えられています。当然、その環境を整えることはリーダーの役割ではありますが、自ら成長しようという強い意志が必要でもあります。また、これだけ厳しい環境かつ、変化の激しい現況では各自の成長スピードもその時代の潮流に合わせて努力をして頂けなくてはならないとも思います。企業も、そして個人においても努力をする者だけが報われる。至極当たり前のことではありますが、せちが無い状況であると感じています。

2009年8月25日
上田 信和

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