2009年9月(社内回覧書類より抜粋)

 9月も後半に入り涼しい季節になりました。一年を通しても最も過ごしやすい時期かと思います。各自がそれぞれの役割をもう一度見直し、より効率的な業務遂行をお願いします。
 さて、ベストセラー「日本でいちばん大切にしたい会社」(著者:坂本光司)でも有名になった伊那食品工業株式会社を知っていますか。この会社は1958年の会社設立から48年間連続で増収・増益そして増員を達成、会社は寒天の製造であるが、会社自身の財務内容や理念、実績等が評価され、会長の塚越寛氏は日本を代表する経営者として表彰も受けています。氏の著書である「リストラなしの「年輪経営」」を読みました。著書の随所に氏の思い「会社は、社員を幸せにするためにある。そのことを通じて、いい会社を作り、地域や社会に貢献する」が込められています。
 氏が経営戦略の柱として考えている二宮尊徳の言葉は次の通りです

遠きをはかる者は富み近くをはかる者は貧す
それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う
まして春まきて秋実る物においてをや故に富有り
近くをはかる者は春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず
唯眼前の利に迷うてまかずして取り植えずして刈り取る事のみ眼につく
故に貧す
(二宮尊徳)

 現在のような厳しい経済状況の時はこのような考え方が出来なくなると思います。これが長期化していくと尚更です。私自身も日々考えさせられ、そして当社に関与するすべての人とこの考えを共有したいと考えます。よくよくこの言葉の意味を考えていきたいと思いました。そして著書の中から下記の文章を見つけたので紹介いたします。

利益は健康な体から出るウンチである

 あまりに「利益」ばかりを重要視する経営者が多い。しかし「利益なんかカスですよ、経営のカス」または「利益はウンチ」とも私は言います。
ウンチは出すことを目的に生きている人はいません。しかし、健康な体なら、自然と毎日出そうと思わなくても出てくるものです。同じように、「健康な会社」であれば「利益」というウンチは自然と出てくるはずです。「利益」を出そうと思えば「健康な会社」をつくることを考えればいいのです。
では、「健康な会社」とは…それは「バランスのいい」会社です。これは人間と同じです。
 健康な人は、肥り過ぎもせず、痩せ過ぎもしていないで均整のとれた筋肉質の体をしている。会社も皮下脂肪や内臓脂肪が付き過ぎているようでは健康とは言えません。会社にとって、皮下脂肪や内臓脂肪というのは、内部留保や贅沢なシステムに当たります。「内部留保は多いほどいい」というのは「脂肪が多ければ多いほど飢餓に強い」と考えるのと似ています。脂肪が多すぎれば、体の動きが鈍くなります。また、飢餓を心配ばかりしていると生活習慣病に陥ることにもなります。企業も同じで、企業自体の活動が鈍り、ひいては生活習慣病に冒されてしまいます。
 逆に、脂肪が足りないと、今度は免疫力が低下して、病気にかかりやすくなります。会社も内部留保という脂肪が少なすぎてはささいな病気にも抵抗できません。人も会社もバランスを取ることが大切なのです。
筋肉質の人はパワーがあります。しかし、腕の筋肉だけが強いとか、足の筋肉だけ強いというのではバランスが取れていません。会社も、製造・販売・開発・財務などのそれぞれの筋肉がバランスよく強くなっていることが必要です。さらに、健康な体は血液の巡りが良く、神経も末端まで発達しているものです。血液の巡りがいいというのは、会社で言えば、社内の指揮命令系統が整っていて、情報や指示が素早く回ることでしょう。神経が発達しているというのは、社員みんなが世の中の変化に対して敏感で、素早く対応できることを意味します。先見性があると表現してもいいかもしれません。
誰でも「健康な体」といものはイメージしやすいもの。そのイメージを「バランス」という言葉をキーワードにして会社に置き換えればいいわけです。

 新しい期がはじまります。心をひとつにして会社も個人も「健康な体」をイメージして全員でこの不況を乗り切りましょう。

2009年9月25日
上田 信和

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