2009年11月(社内回覧書類より抜粋)

 日々寒さを感じる季節となりました。毎日の生活を充実したものに、そして健康と、安全に気を付けた毎日を過ごしていただきたいと思います。
政権がかわり、新政権の新しい動向がマスメディアを通じて発信をしています。しかしながら私たちが実際感じている景気の状況は好転の兆しすら見えてこない…こういう状況下、近頃書店のビジネス書の売れ筋は、松下幸之助とドラッカーのように感じられます。両者とも成熟化された金融社会や昨年9月以降の世界的な不景気は知る由もない時代に生まれ、そして何年も前に亡くなられた経済学者です。私も多くの経営者同様、両者の考え方に感銘を受けることがしばしばありますが、今なぜそうなのか?私自身、何度かこの紙面にて書いたことはありますが、読むほどに興味が募ります。是非、一度皆さんも読んでみてはいかがでしょうか。
 下記は「ドラッカー 時代を超える言葉」(著:上田惇生、ダイヤモンド社)よりの抜粋です。

「あなたの組織にとって最も重要な5つの質問」

「あなたの組織にとって最も重要な5つの質問とは、
①われわれのミッションとは何か
②われわれの顧客は誰か
③顧客にとっての価値は何か
④われわれにとっての成果は何か
⑤われわれの計画は何か   という5つの質問からなる経営ツールである

 人と人が共に働き、仕事が行なわれる。そのためのものとして、マネジメントは大企業で始まり、中堅企業に使われた。やがて、中小企業に移植され、政府機関でも使われ、ついには大学や病院などの大手の非営利組織で使われるに至った。こうして最後に取り残されたのが、中小の非営利組織、いわゆるNPOだった。「おカネのないわれわれのための経営ツールを考えてほしい」との声に応じて、ドラッカーが開発して成果を上げ、今度は逆の経路をたどって、大企業において使われるようになったものが、この「あなたの組織にとっての最も重要な5つの質問」である。

・成果が現れるのは、今日ではなく明日かもしれない。しかし行動するのは、明日ではなく今日である。今日以外に行動の日はない。
・行動するにはミッションがなければならない。したがって、経営において、まず考えるべきものがミッションである。何のための組織であり、経営かである。ここが欠落していたのでは、いかに仕事ができても意味はない。むしろ、社会にとって危うげとなり、本人たちにとっても危うげとなる。
・ミッションがあれば、顧客がいるはずである。顧客を満足させるには、顧客にとっての価値を知らなければならない。そのようにして、初めて、上げるべき成果も明らかになる。さらには、計画を立てることもできるようになる。

 元全米ガールズスカウト連盟CEOのフランセス・ヘッセルバインは、次のように述べています。
「いかなる組織であろうと、ドラッカーの問いかける5つの簡単な質問に答えられない限り、顧客、組織、自らに対し、知らずして害をなすことになる」という。「5つの質問がもたらすものは、行動のための計画である。計画とは明日決定するものではない。決定することのできるのは、つねに今日である。明日のための目標は必要である。しかし問題は明日何をするかではない。明日成果を得るために、今日何をするかである」

2009年11月25日
上田 信和

ピーター・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker、1909年11月19日-2005年11月11日)はオーストリア生まれの経営学者・社会学者。ベニントン大学、ニューヨーク大学教授を経て、2003年まで、カリフォルニア州クレアモント大学院教授を歴任。「現代経営学」、あるいは「マネジメント」(management)の発明者と呼ばれる。

松下 幸之助(まつした こうのすけ、1894年11月27日 – 1989年4月27日)は、日本の実業家。パナソニック(旧社名:松下電器産業、松下電器製作所、松下電気器具製作所)を一代で築き上げた日本屈指の経営者で、経営の神様とも、関係者からは社主とも称された。自分と同じく丁稚から身を起こした思想家の石田梅岩に倣い、PHP研究所を設立して倫理教育に乗り出す一方、晩年は松下政経塾を立ち上げ政治家の育成にも意を注いだ。

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