2009年12月(社内回覧書類より抜粋)

例年になく暖かい年末年始をおくれるのかと思いきや、突然の雪にびっくりしたのと同時に、今年も終わってしまうのかという気持ちになりました。自分にとって今年はどうだったのかと振り返る間もなく一年が過ぎ去ったような気がしています。皆様においてはどうだったのでしょうか。しばらくの年末年始の休暇を、公私ともに休暇をとってもらいより活動的な2010年が迎えられるようによろしくお願いいたします。
政権交代から3カ月以上が経過し、マスコミ報道による政治関連の報道を見る限り急速に経済状況が好転する兆しは無いように感じられます。そのようなおり、「不況後の競争はもう始まっている」(ボストン・コンサルティング グループ著)を読んでみました。私自身の考え方の確認、そしてどう考えていけばよいかを含めて興味深く読むことができました。
下記は興味深い部分の抜粋です。

企業は不況を過小評価している
先進国企業439社を対象に調査を行ったところ、「2009年もGDPは成長する」とした企業は3分の1を超えたそうである。そして「2010年の半ばには回復する」と答えた企業が半数いたとのこと。データは古いわけではあるが、実のところ今現在回復の兆しは全くと言っていいほど感じられない。この調査の結果からみて外的経済事象が自社の事業に及ぼす影響について考慮が不十分な企業が多いという認識できるとの結果が得られる。
更には、回答企業のほとんどは、景気後退に対する何らかのプロセスを導入しているにも関わらず、企業の危機対応にはメリハリが無く一律の対応しかしていないとの認識が出来るとのこと。例えば、人員や生産能力の縮小によるコスト削減を重視する企業は、ひたすらこのような対策に終始しているし、コスト削減に取り組んでいる企業の中で、分野に応じて従業員や生産能力の削減と拡大を使い分けている企業は、わずかに3分の1である。買収や事業売却、製品ラインやターゲット・セグメントの調整など対応策を見てみるとメリハリのなさが一層顕著になっているとのことである。
不況下の今、どのように行動するか次第で、企業の長期的な競争力が決るであろうし、早めに先を見越して手を打たず、切羽詰まって腰を上げるのは、自らの運命を決める能力を放棄するに等しいと考えられる。
不況を逆手に取る法
経済危機という先の見えない状況では、何もせず手をこまねいていることが最もリスクが高い。とはいえ、拙速な行動に走れば、それに劣らぬ代償を支払うことになりかねないのも事実である。景気後退期の課題に立ち向かうには、迅速にして慎重、しかも攻守を兼ね備えたアプローチが必要である。具体的には次のとおりである。
●マイナスの影響を把握する
会社としてのレベルと事業部ごとのレベルの双方について弱みを体系的に評価する。
① 複数のシナリオを検討する(事業部ごとに不況におけるダメージを検討する)
② 事業への影響を定量化する(売上、価格等の変動を定量化し影響をシミュレーションする)
③ 競合企業の弱みを評価する(競合企業と比較し、自社の強み・弱みを分析し影響を評価する)
●自社が被る影響を最小化する
事業への影響を把握したら、次に景気後退期を乗り越え、業績を最大化する最善の打ち手を見出す必要が生じてくる。
① 財務基盤を守る(しかるべきキャッシュフローと資金調達手段を確保する)
② 既存事業を守る(柱となる事業の生存能力の確保、コスト削減と効率化)
●景気後退期に長期的な優位を築く
① 将来への投資を行う(製品開発・生産技術分野への、人材への投資)
② 景気後退を逆手に取り、M&Aを推進する
③ ビジネスモデルを見直す(業界構造の変化を予測、自社を適合させていく)

新しい年が始まろうとしています。大胆にして繊細な感性をもち、より変化に対応しながら生き残る企業として頑張っていきましょう。

2009年12月25日
上田 信和

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