2010年1月(社内回覧書類より抜粋)

皆さんのおかげで、厳しいなかにも2010年という新しい年を迎えることができました。前向きに本年も前進できる年にしたいと思っています。皆さんと一緒に良き年を勝ち取るために全力で頑張ることを誓います。
さて、新年にあたり「ユニクロ」を生みだしたファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の 柳井正氏の著書「成功は一日で去れ」を読んでみました。こんな経済状況の中ではあるのですが、勝ち組といわれる企業でも真っ先に挙げられる企業の創業者であり、現在でも社長をされている筆者の思いを垣間見ることができる一冊だったと思いました。その中でも、皆様に考えていただきたい文章がありましたのでご紹介いたします。

今の日本の閉塞感の一番の原因は、国民が総じて将来に対し希望がもてなくなっていることから発していると思われる。それは、社会全体が老齢化・成熟化してきたことと、精神的なものよりも物質的なものを重視し偏重するという傾向がそうさせていると思う。これは日本人の品格の減衰である。
先進諸国のなかでは、日本人は特に、より物質的なものを求める傾向を持っている。日本人自身は、相変わらず精神的なものに重きをおいていると思っているかもしれないが、今の若者や、世間一般の人々の生活を見ていると、精神性を重視しなくなった気がしてならない。ここが一番の問題で、現在のように、本当に困窮し複雑な時代だからこそ、物質偏重ではなく精神性に重きをおくべきである。つまり、「精神性=希望」であり、そのような思考方法に変えていかないと、将来に希望を持ちながら生活をするという状況にはならない。

サラリーマン社会の浸透の果てに

サラリーマン社会の浸透とは、自分の意思を持って「こうするのだ」、というよりも、他人から「こうしてくれ」と指示されない限り動かない、そんな思考の人が増えていることを示している。
本来、ビジネスの世界では、指示待ちで給料をもらうだけのサラリーマンというのは存在しないはずである。というのも、もし社会全体が立ち行かなくなったなら、自分は社会の中でどうすべきかを考えて主体的に行動するはずである。(社会を会社に置き換えれば…)すべての社員がそうとは考え難いが、そういう傾向の社員が増えているのが事実である。サラリーマンではなく、自分自身で考えて行動する自律・自立型の社員=ビジネスマンを社内で育成しなければ会社は成長しない。
(サラリーマンとビジネスマン…似て非なるものであるのではないでしょうか)

自ら仕事の範囲を限定する愚行

戦後数十年が経過し、坊っちゃん嬢ちゃん的な甘やかされ世代が育ってきて、上司が命令するか、指示をしない限り、仕事をせずに仕事を待っているという性格の人が増えてきた。
本来、仕事というものは自分で作り出していくべきものである。店舗で接客販売する場合も、本社や本部で仕事をする場合も一緒だと思うのだが、自分がやるべき仕事の範囲は、社内の職務分掌規定に決められているにせよ、初めから(自分で)範囲を限定してはいけない。与えられた仕事だけをするのがサラリーマン、あるいは会社員だと考えているのか、そういう人が増えている。(とんでもない勘違いである)
自分の決めた範囲のことしかやらない。やる必要がある仕事であるということを認識していない。やるべきこととやらなくてもいいことの区別ができない。自分の仕事はここまででいいと勝手に境界線を引いて、その他のことは、全く知らないとでもいうように無視を決め込む。
仕事はやればやるほどいろんな発見があり、仕事の目的である「顧客のため」にやるべきことが山ほど出てくるものなのだ。

2010年1月25日
上田 信和

新しい年が始まりました。
積極的に業務を行い、より変化に対応しながら生き残る企業として頑張っていきましょう。

「企業の目的の定義は一つしかない。それは顧客の創造である」 P.F.ドラッカー
「企業の目的は顧客の創造」だという言葉に従えば、不況下であっても成長戦略は構想できる。成長機会は見つけるものではなく、創造するものだからである。

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