2010年9月(社内回覧書類より抜粋)

厳しい暑さも一段落し、朝晩過ごしやすい気温になってきました。ただ、長く続いた暑さにより、知らないうちに疲労が蓄積していることがあります。睡眠と、休養を十分にとり万全な体調で業務を遂行いただきますようお願いします。
また、秋の全国交通安全運動(9/21~9/30)が行われております。通勤途上や業務中の運転時には十分な時間的余裕と、ゆとりを持った運転に心がけていただきますようお願いいたします。

さて、以前より、ドラッカーと松下幸之助それぞれについて本を読みいろいろ感じたことを述べて来ましたが、「ドラッカーと松下幸之助」(著者:渡邊 祐介)という著書がPHP出版から発売されましたので読んでみました。ドラッカー、松下幸之助の両者とも非常に多くの経営者に影響を与えています。生まれも、育った環境も違う両者が非常に似通った考え方を持っていたということで書かれていました。
著書によると、両者の共通点は、人間と組織や人間と社会との関わりをどうとらえるかというところに基盤をおき、組織戦略やマネジメント、経営に関することから人生のあり方まで諭しているとのことです。
両者の考える哲学の共通の基盤となる点は主に①人間がその社会で幸せであるということが何をおいても大前提であるべきだと考えていること。②人間一人ひとりは社会において、どのような生き方をするのが望ましいかという点について考えていること。③現代の人間と社会を考える上で、マネジメント、あるいは経営が個人と組織それぞれにおいて普遍性を持つ重要な機能を持つという点について考えていること。の三項目であると考えられるとのことです。
特に、皆さんには②の人間の望ましい生き方についての部分について考えていただきたいと思いましたので紹介いたします。

ドラッカー、松下、両者ともに、そもそも「人生の成功は経済的な成功ではない」と考えています。二人がともに問うたのは、何が人間を幸せにするかであり、それは、人間が社会においていかに所(自分の居場所)を得るかという点に尽きるわけです。
その答えをドラッカーは、個々の人間が自分の「強みを生かす」ことにあると訴えました。ドラッカーが人々に盛んに問いかけた言葉は、「君は何によって憶えられたいのか」という言葉だったそうです。ドラッカーは、これからの社会はますます組織社会になるとも論じています。その成熟を増していく組織社会で、人間は自ら強みとする能力を存分に発揮し、思うように自己実現を行い、その結果社会に貢献していく、そうした営みが人間の幸せであり、成功したことになると考えました。
ここで大事なのは、ドラッカーが社会の変化として組織社会になっていくと同時に、知識社会にもなっていくと指摘しています。専門家が至るところで進み、知識が重要視される世の中になっていくということです。それは、現代が資格優位社会と化していることからも理解ができます。
一方、松下幸之助は、高度経済成長期に所得番付一位となり、経済的に最も成功した産業人となりましたが、自分の達成した経済的な成功が成功の全てであるとは考えませんでした。松下は極めて自然に、自分の成功は肯定しつつ、万人にとって成功とは何かを思考し、そこで出てきた結論は「人間としての成功」というものであった。同じ地球上の何十億の人間は誰一人同じ人はいない。みな違った特質、天分を、そのまま完全に生かしきることではないか。それが人間として正しい生き方であり、自分も満足すると同時に働きの成果も高まって、周囲の人々も喜ばせることになる。これこそ「人間としての成功」と呼べるもので、真の意味の成功であると考えた。
二人が個の人間の社会的存在を重視するところから、人間の成功の形について同じような哲学を抱いていたのも興味深いことといえるであろう。

これを読んでどう思われましたか?
人は誰しも成功者となりたいもの…しかしながら、成功者の定義について自分自身で考えたことはあるだろうか。経済的な成功者だけでは人間としての満足が得られない。故に、人間としての成功者となるべく人は日々、全力で頑張っているのだと感じました。皆さんはどう感じたでしょうか。

2010年9月24日
上 田  信 和

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