2011年1月(社内回覧書類より抜粋)

 新しい年を迎えました。現業の皆さんには毎日寒い中、業務の遂行や安全な現場の運営に努力を払っていただき、ありがとうございます。
今年も1月4日に、毎年恒例の当社の「出初の会」を行ないました。私自身、一年を振返るとともに、新しい年への思いをこめて、「生き残る企業ではなく、勝ち残る企業」というプレゼンをさせていただきました。皆さんは、どのように考え、そして気付きを得ることができたでしょうか。
さて、年末年始にかけて多くのメディアに、新しい年の景況を予測する記事や番組が流れていました。特に新聞紙上においては一般紙、業界紙とも多種多様な切り口で記述されていました。その中でも一般紙の多くは、本年度の後半より、多くの企業の業績に回復の兆しが見えるであろう・・・というような内容の記述が多く見られました。しかしながら業界紙の見方は別で、我々の従事している建設業においては、まだまだこれからこそ、生き残りをかけた厳しい時代の到来を予測する見方が多かったように感じました。
概して一般紙においては、大手企業の動向を考慮しての記述が大きい要因とは思いますが、長い間の公共工事の縮減によって縮小された建設市場は、製造業や販売業、サービス業というような業種が先行して回復し、それらの業種が潤い、地域が潤い、その次に暫くの時間をおいて潤うという特異的な業種です。公共工事に頼っている時代であれば、景気回復の特効薬が建設業であったかもしれませんが、公共工事削減を頭ごなしに叫ばれ、民間の自助努力による活力復活を期待するような今の状況下においては、最終連鎖となる業種に数えられるでしょう。
その中で、どのように「勝ち残る企業」となっていくか・・・業界の新聞に「建設産業の健全な経営の条件」というテーマで下記のような記述がありましたので興味深く読むことができましたので、皆さんにも熟読をお願いします。

建設投資が減っているのは、世の中で建設業を必要とする程度が下がっていること。
そして、利益が低いのは、建設業の作りだす付加価値が低いこと・・・

建設業における就業者は過剰である上に他産業に比べても高齢化が進み、新卒者、若者の参入が進まない。若者から見ると、働き甲斐が感じられず、生涯の生活を託すのに不安があるというメッセージを出されていると思わずにいられない。いろいろな問題の中で、さらに深いところにあるのは、経営者の自信喪失やプライド、意欲の低下であり、その結果、新しい斬新なアイデア、提案が少なく、画期的な技術革新が見られなくなっているのではないかと言われている。ディベロッパーのような自らリスクを負って企画し実行する発注者からすると、一面歯がゆく、一面くみしやすいのではないだろうかとも言われている。
それでは、このような環境の中で生きていくのには何が必要であるのか?
① 社会に役立つ新しく魅力的なアイデアを開発し、技術の裏付けを提案、説得する力を養うこと。そのための投資をし、人材を育成すること、また、社内の沈滞感を払拭し、活気と緊張感を取り戻すこと。
② 社員とのコミュニケーションにより社員の気持ちを吸収しながら会社の方針を徹底すること。
③ リスクを取れる体制にするため、リスク回避のできる研究をすること。これにより、チャンスを果敢にものにするこことである。
④ 建設業共通に言える事は、固定費を下げて、効果のある投資を思い切って実行し、有為の(才能のある)人材を養うこと
⑤ 知識やアイデア、情報を大切にし、これらを獲得するためには必要な投資を惜しまないこと。

今年こそが変化を成し得るチャンスの年だと思っています。上記の5つの項目をよく考え、積極的な変化の年になるよう努力をしていきたいと思っています。ご理解・ご協力をお願いいたします。

2011年1月25日
上 田  信 和

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