2011年3月(社内回覧書類より抜粋)

厳しい冬も終わり、春を迎えることができました。例年であれば日に日に暖かくなり、春の日差しが増えるにつれ、心も前向きに自然の恩恵に感謝をするそんな季節でもあります。しかしながら、景気の回復もさることながら、自然の脅威に、人間の力の儚さを知ることになりました。
去る3月11日(金)の午後に発生した「東北地方太平洋沖地震」とそれに伴う巨大な津波、福島第1原子力発電所周辺への放射線問題等、周辺地域においては多くの犠牲者、被災者、避難者がいらっしゃることについて、深い悲しみと、関連する方々に対して、あらためて哀悼の意を表するとともに、心よりご冥福を祈りたいと思います。
自然の脅威にさらされる前、日本は世界第2位の経済大国からの脱落、そして政治の混迷、日本はこの後どうなっていくのかという、何かしら自国の不甲斐なさに落胆をしていた日本人が多くいた気がします。全てが満たされ、そして幸せすぎる日本、このような中に発生した災害において、皮肉なことに、改めて、世界での日本の存在感、今までの海外各国への援助、日本の底力や、そして日本人としての誇りを思い起こす機会になりました。そして、隣人を思う暖かい国日本を深く感じ、それを誇らしく感じることができました。下記は、各国の報道を羅列してみました。

国連の潘事務総長は11日、「日本政府と国民に心から哀悼の意を表します。日本がこの重大な試練を乗り越えられると確信しています」と日本語で声明を読み上げ、日本は世界で助けを必要としている人たちに対する最大の支援国の一つだと述べた上で、「この極めて困難な時に、国連は日本国民と共にある。われわれは(日本のために)全力を尽くすだろう」と強調した。

オバマ米大統領は11日にホワイトハウスで記者会見し、東北沖大地震について「壊滅的な災害になる恐れがある」と述べ、菅直人首相に電話で「必要なあらゆる支援を行うと申し出た」と語った。既に軍艦船や救援救助チームが被災地に向かっており、オバマ政権は軍・民総力を挙げた支援の姿勢をみせている。

中国メディアは、甚大な被害について長い時間を割いて報じる一方、整然と列を作って帰宅する市民の写真を掲載し、日本人のマナーの良さに注目。「日本人の冷静さ」を讃えた。ネット上では、被災者への気遣いや支援を呼びかける多数の書き込みが投稿された。中国では、08年の四川大地震で日本の援助隊が懸命の救助活動をしたことが高く評価されており、中国国営・新華社は「恩返しの意識は日中両国民の血に流れている」と報じている。

ロシアのプーチン首相は12日、電力供給不足に陥っている日本に対し、液化天然ガスの供給量を増やすよう指示した。また、「日本との間には様々な問題が存在しているが、両国は信頼すべきパートナーであるべきだ」と述べた。

韓国では、李明博大統領が地震発生の約4時間後には緊急の対策会議を招集。日本の隣国として、救助や復旧の支援に最善を尽くすよう指示した。救助隊の先遣隊が12日に日本入りし、本隊102人が13日夜に出発した。

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は11日、「日本への同情、そして称賛」と題するコラムを掲載した。
執筆者はニコラス・クリストフ氏(阪神大震災時に同紙東京支局長)で、日本人の強い精神をたたえ、今後の復興への期待を示した。その中で「きょう、私たちの気持ちは皆、日本の人々とともにある」と訴えた。阪神大震災の取材の際、商店の襲撃や救援物資の奪い合いが見られず、市民が「勇気と団結、共通の目的の下に」苦境に耐えていたことに感嘆したと説明し、「仕方がない」「我慢」という日本語を紹介した。「日本の人々には真に高貴な忍耐力と克己心がある」とたたえ「これからの日々、日本に注目すべきだ。間違いなく学ぶべきものがある」とした。
英国・BBCの報道では、地球最悪の地震が世界で一番準備され訓練された国を襲った。その力や政府が試される。犠牲は出たが他の国ではこんなに正しい行動はとれないだろう。日本人は文化的に感情を抑制する力がある。
テレビ報道で、小学生の高学年ぐらいであろう女の子がインタビューに答えていた。「今まで、どんなに幸せだったかを改めて感じた、今は帰る家も、家族も全員いない。幸せは本当に嬉しいことだ」と

悲惨な被災地の状況とともに、多くの海外メディアが日本の動向を毎日のように報道しています。その中で日本の、日本人の素晴らしさを多く感じることができました。そして、地球規模での助け合いの精神を知り目頭が熱くなる思いがしました。まだまだ、日本は捨てたものではありません。もう一度、日本人としての誇りと品格を持ち、厳しい時代に立ち向かっていきたいと思います。

2011年3月25日
上 田  信 和

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