2011年4月(社内回覧書類より抜粋)

 連休直前になり、やっと春らしさを感じる頃になってきました。しかしながら、今年の春の気温は例年に比べるとかなり低いようで、砺波平野を彩る毎年恒例の「砺波チューリップフェアー(4月22日~5月5日)」も今年は60周年の記念大会ですが、チューリップの咲きかたが遅くなっている状況だそうです。震災の影響・景気の悪化による影響も含めてフェア―の盛上りも心配です。是非、この地域の年一回のイベントを成功裏に無事行われるよう期待しています。
 震災の余韻はいまだ多くの要因とともに予断の許さない状況です。風評被害も含めて、災害に遭われた方、そしていままだ避難されていらっしゃる方々の少しでも早い復旧を祈念し、そして少しでも復興のお手伝いができればという思いでいっぱいであります。
 さて、この震災においてもトップや権限を持った人の対応の是非が、いろいろと取り質されている事があります。そんな時に、「なぜリーダーは「失敗」を認められないのか」(日本経済新聞社発刊)という本を読みました。企業の失敗(物事の対応の失敗)を見ると、「避けられた失敗」を犯すケースが多く、こうした「失敗」は、現実を「否認」した結果から生じている事が多々あります。否認を避け、現実を直視することが大切であると述べている。その現実を直視するためにも、下記の8つの事柄に注意すべきであるとのことなので紹介いたします。

① リーダーは、手遅れになる前に行動すべきである。何かが起きていると気付いた時には、すでに手を打つチャンスを逃してしまっている事もある。常にいまある現況の否認することを怠らない。危機が訪れるのを待っていては、手遅れになる。今すぐ否認に立ち向かうべきである。

② リーダーは、事実がどれほど残酷なものであろうとも、それを無視したり、否定したり、ねじ曲げたりしてはならない。事実を認め立ち向かうべきである。また、立ち向かわなくても、事実を認める意識を持つ努力をするべきである。

③ リーダーには、周囲が真実をあまり伝えなくなる。そのため、リーダーは、自分が思っているほど組織のことが理解できなくなる。リーダーはそれを踏まえ、徹底的に真実にこだわり、自分が直視するべき事実を探り出し、全てをわきまえた上で、事実に基づいて意思決定をするように心がける必要がある。

④ 組織の中には、変化にいち早く気づき、早期に警報を発する人がいる。リーダー(最高意思決定者)は、そうした人の意見に耳を傾けるべきである。否認を排除するには、組織のどこからかそうした異論(意見や警報)が起こり、そしてそれを傾聴するリーダーが必要になる。

⑤ 厳しい現実を否認することで、不快感や痛みを回避しようとするのは、近視眼的な考え方である。リーダーは、常に長期的な視野に立つことが必要であり、それによって否認を避ける事ができる。時には、直近の不快感や痛みを避け、真実と向き合わない事によって、長期的に破滅的な道を歩み続ける例もある。

⑥ 相手をバカにするのは否認の兆候である。自らが競合企業をバカにしているのに気づいたら注意が必要である。その嘲笑の裏には、自分自身の中の何か(真実)を隠そうとする働きがある。

⑦ 否認を避けるには、自らが真実を語ることが大切である。

⑧ たいていの人は、たとえ間違っていようと、過去の常識にしがみつこうとする。常識に逆らうのは困難が伴うが、立ち向かわなければ何も変えることはできない。否認は、問題に対処する方法としては安全ではあるが間違っている。一方、正しくてもリスクのある方法を口にすれば、困った立場に追い込まれかねない。「立ち向かったものを全て変えられるわけではない。だが立ち向かわなければ何も変えることができない。

リーダーとは企業のトップでもあり、現場の所長でもあります。また、国のトップでもあるかと思います。
人間は、ついつい現実を否認してしまいがちである。厳しい環境の中、業績を伸ばしている企業はたくさんあります。もっとも、業績を悪化させている企業もそれ以上にあるかとは思います。どっちが真実に近いか…その判断こそが間違ってはいけない事なのかもしれません。常に、現況を正しく理解して、辛くとも、苦しくとも現実を否認することなく日々精進していきましょう。

2011年4月25日
上 田  信 和

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