2011年6月(社内回覧書類より抜粋)

 蒸し暑い日が続く季節になりました。今年の梅雨は早めに明けるとの気象予報がありますが…そんな年は天候不順が多く、ゲリラ的な豪雨も多いとも言われています。各現場に従事の皆さんには、あらゆる天災を想定した現場の運行と業務の遂行をお願いしたいと思います。同時に、梅雨時期の体調管理、急に暑くなったときの熱中症対策に気をつけて頂きたいと思います。
また、東日本での震災が起きてから、既に3カ月余りの日が経過しようとしています。我々の日常生活、そしてメディアの報道では政局の混乱と、
震災復興の遅々として進まない状況日々伝えているような気がしています。個人として出来ることは多くは無いのですが、誰かが腹をくくって責任ある打開策を打ち出していく必要があると思います。多くの被災者の少しでも早い日常生活の復帰を願っています。そのような中、各社員の皆さんが、一人の社会人として取るべき行動とは・・・ということで参考になればと思い
「残念な人の仕事の習慣」(山崎将志著)の一部を要約しましたので一読をお願いします。

非効率な仕事・・・

ある印刷所がありました。印刷所と入口の道路の間には格子状のブロックがひかれており、そこを50代前半と思われる女性が、山積みになった印刷物を台車に乗せて入口からトラックの荷台まで毎日ガタガタと運んでいます。多分彼女は、何年も何年も毎日同じ仕事をしており、長年の経験から、たくさんの印刷物を台車から落ちないように方向、高さ、向き等を揃え運んでいるのだと思われます。多分、この会社にはこの仕事をさせたら彼女の右に出る者はいないであろうとさえ思われます。しかしながら、このスキルは必要なのでしょうか?印刷所における印刷物は大事な商品であり、荷台から落ちると商品にならず返品を受けるかもしれないものです。しかし、荷台を改造、あるいは運搬するブロックにゴムマットを敷くとか…そうすれば何年も掛って築き上げるスキルは不要となり安全に確実に運搬ができるのかもしれません。作業を客観的に見ればすぐに改善できるだろうし、悪くとれば、彼女自身が職を守るためだけに続けている可能性も考えられます。
極端にレベルの低い話をしたわけではなく、ある意味「無価値な熟練」は世の中にあふれているということです。

「朝食無料サービス」で利益が増えたゴルフ場・・・

後多くのゴルフ場が厳しい経営を迫られています。多種多様な付加価値で差別化を図りお客様の争奪戦をしています。
その中で、「朝食無料サービス」を売りにして利益をあげているゴルフ場があります。単純に朝食代のお得感だけで利用者が増えたと考えがちですが、実は、朝食を無料にする大きな利点は、遅刻者が減ることです。誰しも、朝食が無料ならばゴルフ場には朝食の時間を見込んで来場し早めに受付を済ませ朝食を食べます。ところがこれでは、ゴルフ場としてのコストが掛るだけです。ゴルフ場には「キャディーマスター」という職種があり、彼らの仕事は、スタート時間調整や、当日のキャンセル、来場者の管理をする事です。どこのゴルフ場でも、朝方の「キャディーマスター」は遅刻者、欠席者への対応で混乱しています。場所によっては、朝方の混乱解消のためだけに余分なスタッフの雇用をしなくてはならないかもしれません。しかし、遅刻者を減らすことによって「キャディーマスター」の調整作業が減り、朝食をとっている間に作業を行い、本来の業務である来場者への前向きなサービスが可能となります。また、トラブル、クレームが少なくなり、トータルとして顧客満足度は非常に上がり、リピーターも増えます。朝食が無料じゃなくても、レストランには、来るかわからないお客様を相手にスタッフは待機しています。結果、朝食の食材費だけがコストとしてかかり、顧客の満足度だけが残ります。
ビジネスホテルに「大浴場」・・・

出張等、多くのビジネスマンがビジネスホテルを利用します。今、大浴場を併設し、更に値段は格安のホテルが多くみられるようになりました。折角、泊るのであれば少しでも快適なホテルをと選択する人も多い。当然、2万、3万とお金をかければもっと快適なホテルはたくさんありますが、決められた金額の中で少しでも快適なひと時を過ごしたいとなれば別です。それでは、ホテル側の大浴場の初期投資だけが嵩んで・・・ということになるはずなのですが、実情は違います。
大浴場を完備すれば各部屋についているユニットバスの利用頻度が減るのです。ホテルの部屋の清掃時に掛る時間はユニットバスで平均10分程度だそうです。ワンフロア20室、10階建てのホテルであれば、20室×10階×10分=2000分≒33.3時間。一日6時間の実作業とすれば、毎日約6人分の人員削減になります。(満室かつ全員が大浴場を使えば・・・)

それぞれが、物事の客観的な考え方や仕事のやり方、そしてビジネスチャンスの要素が多く詰まっている実例です。自分の立場に置換え、自分の仕事はどうか再考をお願いします。
                        
凡人はただ時間の過ごし方を考えるだけだが、才能のある人は時間を使おうと努力する(ショーペンハウアー:哲学者・ドイツ)

2011年6月25日
上 田  信 和

戻る