2012年4月(社内回覧書類より抜粋)

 4月も末に入り、最も砺波らしい季節、チューリップが咲く季節になりました。今年は、例年よりも遅くまで降雪が続き、チューリップフェアへの影響も心配されます。ただ、何はともあれ、新しい年度に入り、ゴールデンウィークも直前ということも相まって何となく爽やかで新しい始まりを感じさせる、そんな感覚を覚えます。
先日より、新年度の挨拶回り、新年度の会合等に日々奔走してきました。挨拶回りで気づくのは訪問した会社の対応です。気持ちよく迎えてもらえる会社、そうでない会社…当の本人は意識していないかもしれませんが、対応する個人の応対一つで会社のイメージが固定される場合があります。それは電話の応対も同じです。もしかすると顔が見えない分、余計感じるかもしれません。それぞれの社員が常に会社を背負って業務に携わっていることを感じ、業務の遂行に尽力していただきたいと思います。
建設業を取巻く環境は今年度も厳しいものであると思います。社員一人ひとりが確実に業務を実行し、かつ前向きに自発的に活動されることを期待しています。お互いがプロであるという信念を持ち、淘汰の時代、人としても企業としても全員で頑張っていきましょう。
「なぜ、社員10人でもわかり合えないのか」という本を読みました。
冒頭に、定説では、「大きな組織ほどコミュニケーションが取りにくく、小さな組織ほどコミュニケーションが取りやすい」と言われています。しかしながら自分自身も感じているのですが、「仕組みで動かざるを得ない大組織のほうが、実は意思疎通が図れるのではないか。むしろ小さな組織のほうが互いの距離は近いが、必ずしもわかり合えていないのではないか…」と。

本文中にはこの様に書かれていました。「中小企業は大企業よりも、お互いを理解しやすいというのは危険な思い込みです。むしろ、中小企業ほど注意が必要でしょう。社員が少ない分、特定の仕事を一人の社員が丸抱えするからです。特に経験が長くて、記憶力もいい人はどんどん専門性を身に付けて、その分野の『ヌシ』になってしまう。」『ヌシ』が発生すると他の人はその『ヌシ』に頼るようになり、『ヌシ』にしかできないことや、わからない事が増えていく。また、『ヌシ』を移動させると会社全体の業務が滞りかねないので、人事異動が制約され、他の人たちも『ヌシ』化されやすくなる。」と。
組織が『ヌシ』化されるとどうなるか…慣れた手法やルールに頼り改善をしなくなる。中には、改善に反発し、変化を嫌う人も出てくる。新しい人が担当すると、多少は混乱するだろうが、自分のやり方を新しく工夫して作業を行う。それが作業の改善つながることになる。
また、『ヌシ』が生まれると、病欠や退社した場合に仕事が維持できなくなる事も問題である。そして一番の弊害は、コミュニケーション不全の元凶となり、改善の芽を摘んでしまう事である。
「『ヌシ』は新しい勉強をしたがらないものです。『ヌシ』の個人力に頼りきりの組織は弱い。特定の人にしかわからないことを社内から極力排除し、誰でも仕事ができる仕組みにしてしまえば、仕事は日々改善し、社員間のコミュニケーション密度も高まり、少人数でも組織力はぐんと高まります。」

『ヌシ』を食い止めるためには…常に仕事に対して「なぜ?」と自分自身に問いかける事が大切だそうです。「なぜ?」という事によって、日常に隠れている事象を顕在化し真因を見つけ出す事ができるからです。常に何か疑問が生じたときには「なぜ?」を5回繰り返すようにしましょう。

2012年4月25日
上田  信和

戻る