2012年6月(社内回覧書類より抜粋)

6月も後半になると、いよいよ蒸し暑い夏がやってきます。30℃を超すような暑い日もあると思います。熱中症に気をつけなくてはならない時期です。現業に従事する皆さんにおいては、十二分な対応をお願いします。また、7月1日より毎年恒例の安全週間も始まります。特別な事をするという事でもありませんが、これを期に安全について真剣に考える、そんな一週間にしていただきたいと思います。
先日より、㈱能作の能作克治社長の話を聞くことができました。㈱能作は大正5年(1916年)に創業し、富山県高岡市で400年にわたり伝えられてきた鋳造技術を用いて仏具を中心に製造をしていた会社です。社長自身は福井県出身で大阪芸術大学を卒業後、写真が好きで関連する業種に就きかたったという事ですが、新聞社に入社し、現在の奥さんと知り合い、能作家に婿として入ったという事でした。全く畑違いの業種の今の会社に入り、鍛造技術や製造作業を一から自分自身で学んだそうです。そこに、新しいデザインを取込み、高度な技術とコラボレーションし、時代にマッチした素晴しい製品を作り出されました。また、錫(すず)といった新しい材料も取入れながら味わいのある製品を生み出しています。創業当時からの仏具、茶道具、花器を中心に、近年はテーブルウェアやインテリア商品、建築金物などを通じて伝統工芸品である高岡銅器の魅力を今に伝え続けていらっしゃいます。
その中で、特に印象に残った言葉が、「仕事が楽しい」そして「仕事に誇りを持っている」という言葉でした。それ故、毎日寝る時間を惜しんで仕事をしていらっしゃるそうです。そして、地域への思いも熱く、生まれは福井県ではあるにも関わらず、高岡を愛し、高岡の発展のために企業活動をされていらっしゃいます。東京の日本橋の三越本店の名称も「高岡 能作」という店名にも現れている様に思います。(結果的に、能作社長の名前が、高岡能作だと勘違いされる事が多くなったため、その後の店舗名は「能作」にもどされたそうです)
『Think Global,Act Local』 能作社長が講演の最後に話された言葉です。「世界を考え、地域のために行動する」心底、考えさせられる高い次元での言葉だと感じました。

上記の講演を聴いた後、自分自身で自社について考えてみました。地域における中小企業の経済活動は、最終的には、その企業が所属している地域のための活動に少なからず貢献しなければならないと思います。建設業のような裾野の広い業種は特にそうあるべきだと思います。それは、地域の安全・安心であり、緊急時の対応や積雪時の対応であるし、地域の基盤や公共物(道路や公共の建物等のインフラ)のメンテナンスや維持修繕であったりすると思います。
そのような活動を通して地域に貢献する事が、その地域に生かされている中小企業であり、建設会社の使命であるといっても過言ではないと思います。当社も、企業活動の軸足をそのように考え、企業活動を行っているつもりです。社員の皆さんも、この企業活動に今後とも誇りを持ち、地域に必要とされる企業活動を行っていきましょう。
では、政治についてはどうでしょうか。国政は国民のため、地域の政治は地域の人のためにあるべきだと思います。ところが・・・国民や地域の人たちのために、本当に真剣に考えている政治家によって、政治は行われているのでしょうか。真摯に、愚直に取組んでいる政治家が、一部住民の誹謗、中傷によって政治活動が出来なくなる事なんてあるのでしょうか?真剣にこの地域を良くしようとする人であれば良いのですが、個人の利益や、名誉のために地域全体が振り回されるのは勘弁してほしい、目まぐるしくそして激しく変化するこの時代に、一個人や企業のエゴによって、地域や地域の人たちが振り回されるのは勘弁してほしい。そんな余裕なんか無いはずなのに。 

『Think Global,Act Local』 まさに、この言葉だと思います。
                        

詭計や裏切りは器量不足からしか生まれない(ラ・ロシュフコー)
※ 詭計(きけい:人をだまし、おとしいれようとする計略)

2012年6月25日
上田  信和

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