2012年10月(社内回覧書類より抜粋)

 少し前まで暑くてどうしようもなかった日々が嘘のように、急に朝晩、肌寒い季節が訪れました。現業に従事している皆さんには、毎日、工程・安全とともに体調の管理に気をつけていただきたいと思います。
 さて、当社も10月1日より第70期がはじまりました。区切りの期でもあると感じていたおり、書店で「どんな危機にも打ち勝つ100年企業の法則」(著者:藤間秋男)という本を見つけたので読んでみました。日本には世界で一番多くの「100年企業」があるとのことです。その数は2万社以上もあり、200年以上の企業は1241社、500年以上の企業は34社あるそうです。世界で日本に次いで100年企業が多いのがイギリスとドイツとの事ですが100年企業は2000社程度と日本の10分の1程度との事だそうです。そんな日本ですが、データー上は10年続く企業は5%程度、20年続く企業は0.39%、30年続く企業は0.025%とのこと。
 確かに、現在、日本の企業の7割の企業が赤字決算をだしている現実もあります。先月も書きましたが、「企業は継続する事が目的でもあり、その目的を達成するためにも、継続的な利益の確保は必要最低限の条件」なのです。
 著書の中でこんな書き方もされていました。「企業は守りに入ったら負ける」と。企業の経営はコマと同じで、立ち止まった習慣から倒れてしまいます。コマを倒さないように安定させるには、じっと止まっているのではなく回転し続けなくてはならないのです。次々と新しいサービスや商品、販売方法を生み続けていく、また新しいお客様を増やし続ける事によって、コマはバランスよく回転し、安定した状態を保つものであると。
 また、「老舗企業は危機でさらに伸びる」と。確かに現存する100年企業は全て戦争を生き残り、オイルショックや幾つかの不況を乗り越え、バブルが弾けても、そしてリーマンショックや急激なる円高やデフレ経済にも生き残っている企業です。そういった企業はリスクに対する危機管理が確実になされ、そして多くの危機を乗り越える事によって、更に大きな危機回避能力が備わってくるという事かと思います。
 そして、「老舗企業は長いレンジで経営を考えている」というようにも書かれていました。先日、コマツの坂根正弘会長の講演を聴く機会があり、坂根会長も言われてたのですが、「人が2年~3年のスパンで考えている中期計画であれば、不確定要素は多々あるが、僕は20年~30年というスパンで考える。人が20年~30年のスパンで考えている長期計画であれば、僕は200年~300年というスパンで考えると」危機感を持ちながら、かつ懐の深い経営、ガツガツせずに、長期的な視点で事業を行っていく事が、良い意味での余裕に繋がり懐の深さが出てくると。目先の利益や成功ばかりを追いかけると、失敗出来なくなり、前向きな考え方も、積極的な改革も出来なくなるという事だと思います。
 暖簾(のれん)に胡座(あぐら)をかくつもりはありません。ただ、当社には多くの危機を乗り越えてきたという、誇りとプライド、そして70年近く育ててきた企業風土があります。前期も、多くの出来事がありました。しかしながら、リスクを最小限にして乗り越え、無事に結果を出す事が出来ました。そして、その実績とそれを共に乗り越えてきた人材があります。今期においても、危機感を持ちながらも、懐の深さを持ち、より積極的に企業活動を行っていきましょう。

2012年10月25日
上田 信和

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