2013年8月(社内回覧書類より抜粋)

 お盆休みは如何だったでしょうか。暑い夏ももう少し、頑張っていきましょう。9月に入ると台風の季節です。先日、旧利賀村の方から「今年は蜂の巣が低いところに作ってあるので、台風が多くなる」と聞きました。日々、気象との戦いでもある業種です。より注意して現場運営のほどお願い致します。
 さて、日曜夜の民放テレビで『半沢直樹』というドラマが好調なようです。前半のクライマックスを迎えた第5話(8月11日放送)では、視聴率が29%を記録、放送開始以来右肩上がりの記録を更新しているそうです。原作となった小説は池井戸潤氏の小説、「オレたちバブル入行組」と「オレたち花のバブル組」の2冊です。池井戸潤氏は、3年ほど前にNHKのドラマで放送された「鉄の骨」の作者でもあります。当時は、何でこのタイミングでNHKがゼネコンの談合のドラマをするんだろう?という疑問がありましたが、ドラマとしては十分に楽しませてもらった記憶がありました。
 ある宴席で、話をしていた際にもドラマ『半沢直樹』の話になりました。(その時テレビは見ていなかったので話は合わせていたのですが…)ドラマの中の「倍がえしだ…」とか「十倍がえしだ…」との言葉のインパクトや爽快感がいい、主人公の『半沢直樹』を演じる堺雅人の演技がいい、原作そのものの面白さだよ、というような話がありました。原作を全て読んだ方と話をしていると…せっかくなので自分も読んでみようと思い盆休の間に読んでみました。もともと筆者は銀行で働いていた事もあり、描写が非常に細やかで、銀行独特の雰囲気も持ち合わせているので確かに面白い。(これがそのまま銀行の内部の雰囲気かというと違う点も有るのでしょうし、メガバンク特有とも言われてはいるが…)ある意味、銀行という体質・感覚も養われた様な気がします。ドラマでは雰囲気で聞いているだけだったのが、活字になるとセリフ自身の意味も深いと感じましたし、銀行という巨大な企業の組織を借りて『組織』自体のあり方に警鐘を鳴らしているようにも感じられました。
 
「組織は、全てがバッテン主義だ。業績を上げた手柄は次の転勤で消えるが、バッテンは永久に消えない。組織はそういう特別な回路を搭載しているのだ。そこに敗者復活の制度はない。いったん沈んだものは二度と浮かび上がらないトーナメント方式だ。」
 「組織がピラミッド型構造をなすための当然の結果として勝者があれば敗者があるのはわかる。だが、その敗因が、無能な上司の差配にあり、ほおかむりをした組織の無責任にあるなら、これはひとりの人生に対する冒涜といってもいいのではないか。」

といった台詞もあります。組織自身の冷酷さと、巨大な組織になればそうしなくては機能しなくなる。そして、組織を構成するのも感情や野心を持った人である。そんなジレンマを表したセリフでもあるような気がします。しかしながら、視聴者はそんな生活を余儀なくされ、そして不満を持ちながらも、その中で生活をしている。そんな日常に主人公『半沢直樹』がズバッと正論で、そして男のプライドを掛けて切り落とす。それが視聴率に反映されるのでしょう。
「オレは基本的に性善説だ。相手が善意であり、好意を見せるのであれば、誠心誠意それにこたえる。だが、やられたらやり返す。泣き寝入りはしない。十倍返しだ。そして…潰す。二度とはい上がれないように。」
 実際、『半沢直樹』のような人材が組織の中で必要か…というと疑問は残ります。しかしながら、組織のあり方としては理解出来る点が多々ある。ドラマは、その時代を反映させると言われています。長いデフレ時代からの脱却を目指している今。多くの人たちは、世知辛い世の中(組織)に嫌気を感じ、まさに政治・行政・企業それぞれの組織が『性善説』に基づいた組織として生き返る事を求めているように感じます。自分自身、経営者として努力していきたいと思います。

2013年8月23日
上田 信和

戻る