2013年10月(社内回覧書類より抜粋)

 秋も本格的になり、朝晩の気温も涼しくなってきました。今年は台風も多く、天気予報で台風の発生が報告される度に気をもんでいましたが、皆さんのおかげで大きな影響や事故もなく各現場ともに順調に推移しています。10月に入り、会社としても新しい期、第71期を迎えることが出来ました。今期は、創立してから70年目という節目の年でもあります。全員で力を合わせ、前期にも増して良き期にしたいと思います。
 皆さん“三方よし”という言葉を知っていますか。“三方よし”とは江戸時代の近江(現在の滋賀県)商人の商売の仕方だと言われています。ウィキペディアによると、『“三方よし”とは「売り手よし、買い手よし、世間よし」という考え方であり、売り手の都合だけで商いをするのではなく、買い手が心の底から満足し、さらに商いを通じて地域社会の発展や福利の増進に貢献しなければならないという考えが根底にある考え方』とされています。また、現在でも近江商人の流れを汲むとされる主な企業は、高島屋、トヨタ自動車、伊藤忠商事、丸紅、住友財閥等、多くの有名な企業があります。
 数年前より、我々の業界で、“三方よし”という考え方が注目されています。今月11日に「第7回全国三方よしの公共事業改革カンファレンス」が新潟で行われました。『三方よしの公共事業改革』とは、数年前から言われており、『公共事業を通じて国民の安心と国土の安全を守り、より良い社会を築くことに貢献するという重責を、改めて強く心に刻み、発注者と施工者が、社会に最大の利益をもたらすために、「良いもの」を「より早く」提供することを目指して、一致協力し、全力を挙げて公共事業に取り組む。これによって、住民、発注者、 施工者の三方に利益をもたらし、ひいては財政の健全化にも貢献する』という様に定義されています。大会においては、国土交通省北陸地方整備局の野田局長も参加されました。局長自身もこの『三方よしの公共事業改革』には大賛成で、この(制度確立のためにも)制度に魂を込めて行いたいとコメントされました。局長は以前、着任された時の業界紙の取材に応じて、
「地域建設業は防災の担い手であり、足腰が強くなければあらない。そのための仕組みや制度をどのように組立てられるかが大きな課題です。発注者責任をきちんと果たすことが大事であり、究極の発注者責任とは、発注者の原因でいささかも受注者に損をさせてはならないということだと思っている。施策のひとつであるワンデーレスポンスのほか、設計労務単価、調査基準価格の引き上げなどを駆使し、発注者責任をタイミング良く、遅れることなく果たしていくことが一番重要である」
というコメントも残されました。我々にとっては非常に心強いコメントであり、我々の実情を知った上での考えをお持ちの方だと確信をしました。今後とも、この考え方を念頭においた仕事を行い、地域の方々に喜んでいただける仕事を皆さんと創造していきたいと思います。
10月は、各地区で運動会が行われたと思います。私自身も地元の運動会に参加してきました。運動会でよく“綱引き”の競技が行われます…先日、とある講演会に出席した時に、講演の中に“綱引き”に例えた話がありました。綱引きは1本の“綱”を引き合う単純な競技です。引っ張る方向は同じで、テクニックや腕力も必要ですが、引っ張る人全員の思いとタイミングが合わないと絶対に勝てないと言われました。これは、単純な競技であるが故に、チームワークが最も重要な勝因の一つであるということです。経営や組織も同じですし、三方よしの考え方も同じです。同じ方向を向き、力を合わせ、魂を込めて、タイミング良く頑張っていきましょう。必ずや、よき結果が得られると信じて…

2013年10月25日
上田 信和

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