2013年11月(社内回覧書類より抜粋)

あっという間に季節は夏から冬になったような気がします。今年は暑い夏が長く続いているなと思っていると台風が毎週のように日本列島を脅かし、台風が去ったと思ったら秋を楽しむ間もなく冬が来てしまったという感じでしょうか。急に寒くなった事もあり、体調維持はどうでしょうか?今年も残すところ一ヶ月となりました。来年に向けての区切りの一ヶ月、頑張っていきましょう。
台風といえば、11月8日にフィリピンに最大瞬間風速90m/sという信じられない規模の台風が上陸し、それこそ東日本大震災を彷彿させるような壊滅的な被害が出ました。あの規模の台風、そして、津波のような高潮が日本に襲来していたらと思うと日本はどうなるのだろうと本当に心配です。災害に強い国土の形成、それこそ我々の業界に課せられた使命とも思います。被災地の少しでも早い復旧を心より念願致します。
先日よりインターネット上にて調べ物をしていたとき、「建設業で本当にあった心温まる物語」という本に出会うことが出来ました。その中で、このような文章がありましたので紹介します。
〜物づくりのすばらしさを伝えたい〜
日本には資源がありませんから、技術力を高め、技術立国として国力を上げる必要があります。
「建設技術は地球の彫刻家だ」さらには
「建設技術者は地球の医師であれ」
という言葉があります。建設技術はまさに地球を舞台にした芸術家であり、具合が悪いと治療する医師でもあるのです。
しかし、彫刻家、医師と建設技術者との決定的な違いがあります。それは、名前を残さないことです。建設業従事者が作るのは「無名碑」なのです。

我々、建設業に携わるもの、そして技術者の基本的精神のようなものを感じさせる文章だと思いました。ただ、良いか悪いか…名前は残りません。ただ「無名碑」に誇りを感じているのも我々なのです。巻末には以下のような文章が綴られていました。
建設の仕事は華々しい仕事ではありません。事故なく、大きなミスなく完成して当たり前の仕事です。建設現場は、危険を察知する能力が求められる世界だからこそ、経験こそが実力です。だから若手だけでは造れないのです。
震災復興や国土強靭化に向けて活躍する建設技術者の姿が若い人たちに「かっこよく」見えてそれが「技術立国」として日本復興につながればとても嬉しく思います。建設業界で働く私たちはより誇り高くそして地道に働きたいものです。

建設業に対する誇り、技術者の誇りを、そしてそれが日本をつくっていく…そんな思い、そんな希望が詰まっている…東日本大震災以来、業界別の就職希望比較では震災復興需要や、政権交代による公共事業増加への期待など、業界全体に吹く風も後押しし、建設業界の人気が以前よりも上がっているそうです。私たちは、そんな夢を持って建設業界に入ってくる若者たちの先輩であり、経験を積んだ技術者として胸を張っていられる、そんな文章であると同時に、日本復興に対する、我々へのエールのように聞こえます。

2013年11月25日
上田 信和

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