2014年3月(社内回覧書類より抜粋)

 今年も3月11日がきました。東日本大震災という未曾有の災害から、早いもので3年が過ぎました。当日は、各種メディアで「震災のその後」というような特別番組を一日中企画・報道されていました。幾分、当時の事を思い出しながら、切なさとともに、まだまだ復興されていない現実を知る事が出来ました。端(はた)から見れば、長いようで短かい3年間でしょうが、被災地で避難している方々には、まだまだ長くて辛い日々であるに違いありません。被災地における多くの方々に思いをはせながら、少しでも早い復興を祈念致します。
 さて、先日、知合いの勧めで「爆速経営 新生ヤフーの500日」という本を読みました。パソコンを使う人なら必ずは知っているヤフー(Yahoo!)の現社長は宮坂学氏です。1967年生まれ、奇しくも私と同い年にあたります。2012年に日本最大のアクセス数を誇るポータルサイトの運営会社ヤフーの社長に就任しました。当時のヤフーはどのような状態であったかというと、経営者の井上雅博氏も財界内では、頭脳明晰、論理的、冷静、大局観との好評価でもあり、年齢も当時は55歳、結果も創業以来15期連続で増収・増益で、本来であれば急に経営陣を交代する必要の全く無い状況ではあったと思われます。しかし、井上前社長の、巨大になりすぎたヤフー自身に、自分の生活スタイルとヤフーの活動に違和感を覚えたとの理由?!で劇的な経営陣の交代が行われました。そのような中、宮坂新社長の1年目の成果は、6年ぶりの2桁営業増益、売上高14%増、利益額13%増、売上高営業利益率は54%という考えられない数値を上げ、見事に井上前社長の期待に応えたのでした。
 1996年にYahoo!の日本法人として出来たヤフー株式会社は、ベンチャー企業の中でも、創業以来大きな影響力を持った企業であり、結果は出ていたものの、生まれながら巨人のような企業は急激に成熟度を増し、5,000人という集団は大企業病という道を確実に進んでいたのは間違いないと思います。そんなヤフーを1年という短期間に、5,000人を超す社員集団が急激な結果を出す事が出来た理由、それは、宮坂新社長が掲げた「爆速経営」の結果であるのは間違いないようです。新社長が「爆速」と呼ばれるまでの速やかな改革を行えたのは、宮坂氏の類い稀なリーダーシップと、緻密で大胆な経営方法によるものであったという事は理解できます。彼がまず進めたのは、「新生ヤフーの牽引役=経営陣」を決めること、そして、その経営陣と徹底的に議論し、そして目指すべき「目標」を決めたことのようです。
そして、その中でも特に議論された事は人事評価制度だそうで、彼等の人事評価制度の要諦は3つしか無いと書かれています。

まず、頑張る人が報われるということを社内に周知させること。

そして、実際に頑張った人に報いること。

さらに、どうしたら報われるのか、その基準を明確にすること。

この条件が満たされていれば、組織は活性化すると決断し、議論の末、人事制度を抜本的に変えることを決定し実効したそうです。
 全ての企業がヤフーのような人事制度が当てはまるとは思いません。それぞれの企業には、それぞれのやり方があって当然だと思います。しかし、ヤフーは、この人事評価によって企業の業績を伸ばしていったのも現実です。本の中で、ヤフーの力の一つは組織力だと書かれていました。5,000人の組織、それも洗練された組織は、6,000人分も7,000人分もの力を発揮する可能性がある、それが組織力だと。また、理想の組織は、「指揮者のいないオーケストラ」とも書いてありました。リーダーがいなくても回る組織、それぞれの演奏者が、互いに意識し合って自律的に演奏をする組織。どんな組織なのか、それぞれ自分の立場で考えていただきたいと思います。

2014年3月25日
上田 信和

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