2014年10月(社内回覧書類より抜粋)

 10月に入ってから朝晩が寒く感じられるようになりました。いよいよ冬支度に入る時期です。体調を万全にして風邪などひかないように業務遂行をお願いいたします。
私自身、日々感じていることですが、皆さんも先輩としての後輩への接し方、後輩としての先輩との接し方について色々と頭を悩ませたことがあると思います。
江戸時代末期から大正初期にかけて、日本の官僚であり且つ実業家でもあり「日本資本主義の父」とよばれた渋沢栄一氏の『論語と算盤』の中に、先輩には2種類の人間がいると言っているそうです。
 一方は「何事も後輩に対して優しく親切に接する人」で、決して後輩を責めたりいじめたりせず、どんな欠点や失敗があっても庇護(弱い立場のものをかばって守る)する人である。
 もう一方はこれと正反対で「何か少しの欠点が後輩にあれば、すぐにガミガミと怒鳴りつけ、これを叱り飛ばして、完璧なまでに罵り責める」人である。
では、どちらが後輩にとっていい先輩かというと、好かれるのは間違いなく前者であるが、後輩のために真の利益になるかどうかは疑問であると渋沢氏は言っている。後輩の奮発心を削いでしまうからである。逆に、「後輩をガミガミと責めて、常に後輩の揚げ足を取ってやろうと」とする先輩が上にいると、その下についた後輩は「一挙一動にもスキを作らないようにと心掛ける」すなわち、部下に奮発心を起こさせ、育成につながるのは間違いなく後者である。その意味においても後輩に厳しく接するのは教育の一環なのである。
厳しく接すれば潰れる人間もでてくるだろう。しかし、その潰れる人間の事を考えながら経営をしていたのでは会社が潰れる。強靭な人間をどう作っていくかが大切なのだと思われる。潰れそうな人間には叱る必要はなく、むしろ潰れないような仕事を与えるのが本当の親切であり、組織のあり方だとも思う。そのためにも叱る相手の事を良く理解しなければならないし、その叱り方についても冷静に考えた上での行動でなくてはならないとも言える。

 叱り方ということでは、タレントで『聞く力』の著者でもある阿川佐和子の新しい著書として『叱られる力』も発売された。著書の中で、「最近はほめて育てる事ばかりが重要視されているが、小さいころから叱られていないと、どうせ皆が守ってくれるという甘えた大人になってしまう」とも書かれている。ちなみに著書によると、「叱り方」は『借りてきた猫』であるという。
か(感情的にならない) り(理由を話す) て(手短に) き(キャラクター(性格や人格)に触れない) た(他人と比較しない) ね(根に持たない) こ(個別に叱る)

私自身も良く若い頃に叱られた。常に先輩たちからは「叱られるうちが花、叱られなくなったら終わりだぞ…」と言われたものです。叱る立場と・叱られる立場、それぞれの立場をそれぞれが理解してこそお互いが成長できる。昨月も書かせていただいたが、
「人財」>「人材」>「人在」>「人罪」   「人財」の大切さを痛感する毎日です。

2014年10月24日
上田 信和

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