2014年11月(社内回覧書類より抜粋)

 今年も残すところ一ヶ月少しとなりました。日々、朝晩の冷え込みが厳しくなってきています。もうしばらくすれば雪も降ってくることでしょう。工程管理をよりシビアに行い、
効率的な現場の運営をよろしくお願いします。
先日より、プロテニスプレーヤーで世界ランキング5位の錦織圭の活躍が大いに注目をされています。世界で8名しか出場できない、ATPツアーに出場、準決勝で惜しくも敗れてはしまいましたが、錦織は身長178cm、大柄な外国人選手との身長差は10cm前後、その体格差から放たれるサーブスピードは錦織の180キロに比べ200キロにも到達するそうです。
それにも関わらず、コートを縦横無尽に走り抜け、果敢に攻めるテニスを真骨頂とし、ラリーでは打ち負けずに粘り強く頑張る姿は感動すら覚えます。当然、日本人プレーヤーだからヒイキ目はありますが、将来、必ずや世界1位になって、日本のテニスファンだけではなく、
日本人全員に勇気を授けてもらいたいと思いました。
さて、冨山和彦氏が書かれた「ビックチャンス」という著書を読んでみました。その中で、グローバル競争・国内での熾烈な競争の中で、どうすればグローバルで勝ち残れる企業になれるのか、日本企業が低迷した原因と、復活させるための手法などが書かれていました。
その中で『日本企業にはびこる「ムラ型メンタリティー」が(景気上昇の)改革を阻んだ』と主張されています。

企業が全てグローバル企業かというとそうではない。また、そうある必要もないし、グローバル化を目指さない企業が不必要かというとそうでもない。ローカルな市場にはローカルな市場のルールがあり、それはそれで地域の発展においても企業においても有効な場合はある。地域にしっかりと根付いた産業を中心としたローカル企業や、我々のような建設業においても、地域に根ざしたルールにそって十分戦えるところはあるだろうし、やり方次第ではまだまだ成長の可能性もある。グローバルかローカルか。要はどこで戦うかであり、戦場が決まればそこでのルールを受け入れて、有効な戦略を練り、最強の戦士や同士を集め、さらには最新の武器を手にして戦うべきである。
ただ、ローカルな企業だからといってグローバル競争で勝ち抜いていくという方法を全否定するのはおかしい。日本固有の旧来の企業に残っている「ムラ型メンタリティー」を排除するということは、実力主義を根付かせる事でもある。「ムラ型メンタリティー」は、ムラの調和を保つことが最優先課題であり、各部門の意見を調整し、関係者の顔を立て、コンセンサスを得ながら意思決定を行っていく。このような日本企業では当たり前だと思っていた判断や考え方、在庫管理から人事異動まで、「継続すべきことと、無くすべきこと」それは、ローカルな企業といえども非常に大切なことである。

グローバル経済なんて自分からは遠い存在とは思っていました。しかし、グローバル化とは同時に環境の変化が速く訪れることでもあり、非連続的な企業経営とともに、大胆かつスピーディーな選択と捨象が必要とされることでもあります。しかもそれは、日常的、恒常的に繰り返していかなくてはなりません。ムラの調和を大きく乱すような意思決定でも果敢に下さなくてはなりません。まさに『グローカル』という言葉が生まれた所以なのかもしれません。
常に、土俵はローカルでも、考え方はグローバルな考え方を持ち続ける者が勝ち残るために必要なのかもしれません。

2014年11月25日
上田 信和

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