2014年12月(社内回覧書類より抜粋)

 今年も残すところ数日となりました。暖冬との話もありましたが、ここ近年にない早い時期からの積雪で現場での対応も大変だったと思います。現業においては、慌てずに、年明けからの作業を見据えた対応をお願いします。
 皆さんにとっての2014年はどんな年だったでしょうか。それぞれ、良いことも悪いこともあったかと思います。自分自身の一年を振り返ってみると、先日より仲良くしていた同級生が急に亡くなったこともあり、業務遂行の上でも、体調管理は大切なことだなと自分自身深く感じる一年であったと思いました。
 そんな事を考えているおり、「お坊さんの1日1分説法」という本に出会いました。そんな中で記憶に残った文章を紹介します。

 過去のいつの時代も、将来に備えることは不安だし、大変なことだったでしょう。しかし、これだけ寿命が長くなった現代では、ずっと先のことまで視野に入れなくてはなりませんし、いろいろな情報があふれ、選別するだけでも手一杯です。そう考えると、現代は昔よりほんの少しだけ、将来のことを考えるのが難しい時代なのかもしれません。
天台宗の開祖、最澄の言葉に、こんなものがあります。
「道心の中に衣食(えじき)あり、衣食の中に道心なし」
道心とは、何かを成し遂げようとする気持ちのことで、悟りを求めようとする心を意味します。そして衣食とは、着るものや食べるもののこと。この言葉には「自分の使命を成し遂げようとするならば、食べ物や着るものに困ることはない。食べ物や着るものばかりを求める人には、何かを成し遂げようとする心がない。道を求めて真摯に生きれば、自然と生活もついてくる」という意味になります。
これは、今さえ良ければいい、将来のことは考えなくてもなんとかなるという意味ではありません。毎日すべきことに一生懸命に取り組んでいれば、無駄なことにお金を浪費したり、無駄な労力や時間を費やすことはありません。その姿を見て、仕事を認めてくれる人や困ったときに助けてくれる人が自然に現れるという意味です。
良い将来を迎えるためには、視線を将来に向けて備えることも必要です。でも一番大切なのは、あくまでも今現在のことに全力で取り組むことなのです。
将来は今の積み重ねの先にあります。前述したように、私たちは今何をするかは、自分で決められるのです。今この瞬間に、私たちがすべきだと思うことを精一杯やる。今を一番よく生きることが、将来の何よりの備えとなると思います。

 
 本の中では、「将来のお金への不安」についての言葉として書かれていました。しかし、それは金銭だけではなく多くの事を連想させてくれる言葉でもあると思います。自分に照らし合わせた上で、今をどう生きていくかを考えてもらえれば良いと思うし、新年を迎えるにあたっても新たな決意をもって何事にも真摯に挑んでいただければ幸いかと思います。

2014年12月25日
上田 信和

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