2016年9月(社内回覧書類より抜粋)

暑かった夏も過ぎ、多くの台風の来襲とともに秋の風が吹き始めました。

気候的には過ごしやすい季節になってくるはずなのですが、

これまでの夏の暑さで疲労が蓄積している人も多いかと思います。

過ごしやすいからといって無理はせずに、

秋の夜長、気分転換も兼ね、

時間を見つけて読書に勤しむことも大切なことかと思います。

平素の業務も確実にこなしながら有意義な毎日を過ごせて頂ければと思っています。

 

さて、10月から新しい期が始まります。

現場の方は、多くの場合は引き続きの業務とは思いますが、

私自身は一つの区切りと確認しながら、

新たな気持ちで頑張りたいと毎年思っています。

 

区切りをむかえるにあたり、企業のあり方を常に確認するようにしています。

今までを振り返り、企業風土・組織や体制、

現在の業界の方向性やその中での当社の位置、

そして社内の問題は何があるか等いろいろ気になることはあるものです。

 

組織が巨大化してくると、問題がいくつか現れるそうです。

 

☆ 企業自身の巨大化(肥満化)により管理やコンプライアンスの統制がとれなくなる場合。

 

☆ 組織が複雑になり、多くの組織間の確認や責任の所在が見えなくなり、

  組織が間違った方向(不正や虚偽)に行っても矯正できなくなる場合。

 

☆ 組織の各部署の長が権力を持ちすぎ、部下は上からの指示に従うしかなくなり、

  自分の業務に対しての思考が停止し、言われたことをやるだけで自律性を失い、

  そのうちに組織自体の自律性が失われ世間の常識からもかけ離れた組織となっていく場合。

 

☆ 巨大な組織故に細部(現場)まで目が行き届かなくなり、

  また逆に細部(現場)からの意見や提案、改善が届かなくなってしまう場合。

 

 などです。

 

そのような状態にないようにと気を付けながら新しい期を迎え、

そして新しい試みをしていかなくてはならないと思います。

 

業界的には厳しい状況は続いています。

同業者も死に物狂いで企業間競争に勝ち残ろうとしています。

勝ち残る企業として何が必要か、そして足らないものは何か、

それをどのように補い、それらの力を動力として如何に成長していくかが課題となります。

 

以前、歌舞伎役者の市川中車(別名:香川照之)氏の講演を聴く機会がありました。

講演会の最後に彼が言っていた言葉が印象的でした。

「剱岳•点の記」(実際に剱岳にて撮影が行われていました)の撮影にあたって、

富山出身の映画監督、木村大作氏から毎日、何回も

撮影のために剱岳に登る俳優やスタッフに対して送られた言葉だそうです。

それは

山に登る時は本当に辛いが、降りる時はそれに比べたら楽だろう。人生も同じだ。

上り調子の時は辛いし、下りになると楽になるもんだ

という言葉です。

 

人も企業も現場も同じなのかもしれません。

常に迷い辛い思いをしている時は少しでも上に行こう、

少しでも良い製品を収めようとしているから悩んでいるのではないでしょうか。

いつも通り、または、いつもより下でもいいとか、

品質が下がってもいいという時は悩まないし、精神的にも楽なんだと思います。

 

より良い企業に、そして、より良い製品を収められるためにも、

常に苦しみながら毎日を過ごしているのだと思います。

 

迷ったことがあったならより辛い道を…

市川中車自身も

「常に人生の岐路や選択に迷うことがあったなら、

常に辛い道を選択するようにしています」

と言われていました。

それゆえ彼は、俳優としては超一流と言われているにもかかわらず、

自分の生まれを振り返り、歌舞伎という世界でも頑張り、

俳優としても歌舞伎役者としても幅の広い人生を送れているような気がします。

 

2016年9月25日

上 田  信 和

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