2022年9月(社内回覧書類より抜粋)

富山県を直撃した台風14号も過ぎ去り、県内には比較的に大きな被害もなく安堵しています。

しかしながら、全国各地においては、この台風も含め、自然災害によって多くの被害が見受けられます。

被災された方々の生活が一日も早く元に戻ることを祈念致します。

また、10月1日からは「全国労働衛生週間」が始まります。

スローガンにもある「あなたの健康があってこそ 笑顔があふれる健康職場」を全員で作っていきましょう。

 

さて、皆さんは「ワイドショー」について考えたことはありますか。

今では毎日のように放送されている「ワイドショー」は1965年頃から放送され始め、

もはや半世紀以上にわたって親しまれてきた番組の通称です。

しかし番組内容や取扱う題材、そしてコメンテーター等は常に変化し続けてきたようです。

当初は誰もテレビを見ない時間帯(昼過ぎから夕方)の視聴率を上げる目的で放送され始め、

放送内容もVTRの技術が無かったため、スタジオからのトークと新聞社から提供されたニュース原稿が中心だったようです。

1970年代からは主に芸能情報ばかりを取扱う様になり、「芸能リポーター」という言葉が出てきたのもこの頃です。

そして視聴率が上がり始めると、民放各局は平日の午前・午後と放送し始め、2000年代に入ってからは、

名称を「情報番組」とし始めますが、その後は、通常のニュースを扱う頻度が増してきたため、

その呼称を再び「ワイドショー」と呼ぶ様になりました。

その後、テレビ局の経費削減のため、午後のワイドショーは一旦番組表から減り、

その時間帯にバラエティやドラマの再放送を流していた時期もあった様です。

2014年以降、民放各局は番組尺を長く(昼過ぎから夕方まで)確保し、生放送を行う様になります。

その理由は「速報性」と「コスト」だそうで、番組放送中に地方自治体の首長の定例会見や特別記者会見、

著名人の会見等が挟み込める事もメリットとして扱われ始めました。

 

ここまで「ワイドショー」の変遷を見てきましたが、近年では特にコスト削減の要素が多い様に感じられます。

同じビデオの繰返し放送が多く、YouTubeやTikTok、視聴者からの投稿ビデオも目立ちます。

また、コメンテーターも芸能人が殆どで、巧みな話術ですが、

中身の薄っぺらなコメントや専門性も内容も無いコメントが多いとも感じられます。

「ワイドショー」は、報道番組と比べ「イエロー・ジャーナリズム」(新聞の発行部数等を伸ばすために、

事実報道よりも扇情的である事を売り物とする形態のジャーナリズムのこと)であると言われています。

芸能人のゴシップ等を取扱うことが多いため、幅広い話題についてコメントすることから、

コメンテーターの不用意な発言や専門分野外に言及した発言の信憑性が指摘される事も多く。

番組によっては、あらかじめ番組スタッフとコメント内容を打ち合わせることがあるようで、

コメンテーター本人ではなく、番組スタッフによって意図された発言をしている場合や、バランスを取る為、

批判的な人を入れるなど、あえて論戦に負けそうな人を選んで脚色しているとの指摘もある様です。

 

放送作家の高橋秀樹氏は、「ワイドショー」の制作スタッフがコメンテーターの配置にあたっては重要なのは

「情報を持った専門家、笑いの取れる人、気の利いた/時に毒ぎりぎりの印象批評が言える人」と指摘している。

また、「一般視聴者の意見と同レベルの感想を代弁する」と言う立ち位置から置いているとも主張している。

そう言いながらも、取り扱われる題材は、国際情勢から国内政治まで広範囲に及び、メディアの発信力からも

簡単に話された政治的発言が場合によってはかなりの影響力を持つ可能性は大きい。

「ワイドショー政治」とか「ワイドショー民」という言葉が言われるようになってきています。

国や地方自治体における行政や立法、それ等をコントロールする議員や公務員の皆さんの考え方や意見が

「ワイドショー」を見ている人々や、その人たちの考え方に迎合していてはいけないと思います。

それぞれの立場で未来を見据えた発言や行動を責任持って行っていくべきだと思います。

 

皆さんはどう思われますか。

後世に正しい判断だったと言われる社会を国民全員でつくっていく事が大切なことだと思います。

その為にも自分自身で何が正しいのか常に考えながら情報と接して行く必要があると思います。

 

2022年9月22日

上 田  信 和

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