2023年12月(社内回覧書類より抜粋)
今年も残すところ数日となりました。
皆さんにとっての2023年はどんな年だったでしょうか?
良い事、悪い事、嬉しかった事、悲しかった事いろいろあったかと思います。
年末になると一年を振り返る時期でもあります。
嫌なことは忘れて…と言いたいところですが、同じ轍を踏まないという事からも、
しっかりと記憶しておくことも大切かと思います。
来年こそはと考え、同じ間違いをしないよう努力していく事が大事なのだろうと思います。
さて、先日、とある経営者からこんな話を聞きました。
それは「世界には4種類の国があるとのことでした。
一つは『先進国』2つ目は『後進国』3つ目は『アルゼンチン』
そして4つ目は『日本』だとのこと」でした。
これは、ロシア生まれでアメリカ国籍の経済学者、
ノーベル経済学賞のサイモン・グズネッツ(1901〜1985)の言葉です。
『先進国』と『後進国』は理解できますが、『アルゼンチン』と『日本』が
特別に扱われるのはなぜだろうと思いませんか。
それには『アルゼンチン』と『日本』という国の歴史を知らなければなりません。
『アルゼンチン』は世界第8位という広大で肥沃な国土を持ち、
ヨーロッパ諸国からの投資により1850年から全土に鉄道網を張り巡らせ、
イタリア・スペインなど南欧諸国からの移民を積極的に受け入れて内陸部の開拓を進めました。
農業生産量は飛躍的に拡大し、穀物、肉類の輸出により、
1929年のアルゼンチンは世界第五位の経済大国になるまで発展していたそうです。
しかし、ここからの転落が凄まじかったそうで、1929年からはじまった世界恐慌と
それを受けた英国のブロック経済圏への参入による経済的従属。
経済格差拡大による国民の不満を背景とした
ナショナリズム(自分たちの国民を重視する考え)の台頭、
イギリス資本による産業支配への反発、
「ペロニズム」と呼ばれる「福祉ポピュリズム」政治による放漫財政、経済政策の混乱。
軍部によるクーデターと内乱、財政破綻。
第二次大戦後に復興が進む欧州、日本とは対照的に経済的没落の一途をたどったそうです。
「ペロニズム」とは簡単に言えば、政府が国民の望むことを殆ど無償で施してくれるというもので、
大衆の人気迎合主義がもたらした政治ということです。
そして2001年に対外債務のデフォルト(国家が累積債務を返済出来なくなること)を
行うなど常に金融不安を繰り返す国になってしまっているのが現状です。
先進国から途上国への転落。
経済学者から見て例外事例ということです。
では『日本』はどうかというと、第二次世界単線で敗戦し焦土と化した国、
発展途上国から、GDPで世界2位という一流の先進国になりました。
対戦前の日本のGDPはアメリカの4割程度だったらしいですが、
敗戦後は1割強まで落ちてしまっていたそうです。
その後の高度経済成長により1991年にはアメリカの85%までになりました。
そして後進国からから一転、先進国となったからです。
そのような国も全世界には例外なのだということです。
しかし、日本の今はどうなのでしょうか?
1985年に亡くなったサイモン・グズネッツには
想像出来なかった状況に陥っているのではないでしょうか。
政治がどうのとは言いたくはありませんが、このままの日本で良いのか時々思うことがあります。
先進国の一員であったアルゼンチン化していないでしょうか。
私達も、もっと真剣に政治について考えなくてはいけなくなっているのだと思います。
年が明けると大発会と共に株式市場も始まります。
円安、物価高、どこまで続くのか良い年になることを祈りたいと思います。