2014年2月(社内回覧書類より抜粋)

 今年の北陸は、日本列島が間逆になったように積雪がほとんどない過ごしやすい天候に恵まれました。しかし、現場では、まだまだ寒い日が続くと思います。体調管理に努めて工程と安全に留意して頂きたいと思います。
 新年から、いろいろな方々といろいろな場面で挨拶する機会がありました。初めて会う方への挨拶では、失礼のないように努力しますし、大勢の方々の前での挨拶では、いかに自分の言いたい事を伝えられるか、自分なりに精一杯努力するようにしています。満足できる事は少なく、理想と現実とのギャップに常に悩まされます。オリンピックを見ていると、大場面で完璧なパフォーマンスをする競技者に、それまでの多くの努力を感じるとともに、スポーツの素晴しさを幾度も感じる事が出来ました。自分自身もそんなパフォーマンスが常に出来るように努力していきたいと思っています。
さて、先日セミナーを受けた際に「利益づくりの反省」として3つの事例について聞くことが出来ましたので皆さんに紹介したいと思います。

事例①:A社の場合(受注金額—必要利益=外注金額)
A社は建設バブル時代から多くの工事を完工させ業績を拡大させてきた。その中で、下請負責任として協力業者に発注し、差益を積上げることによって会社全体の利益を上げる事に成功してきた。しかし、建設市場の急激な縮小により、厳しい価格競争のあげくに受注した工事は、完成させれば利益がでるという時代とは違い原価削減への取組が強く求められるようになった。
近年は、積算段階で会社利益0を設定し、受注した後には、現場からの利益を努力目標として設定。結局は協力業者に目標達成価格での下請負を強制するしかないのが現状である。

事例②:B社の場合(Σ(購買部門が厳しく発注)=利益)
B社は建築工事を売上の柱とするゼネコンである。各現場の厳しい実行予算を守るため、社内で最も協力会社へにらみが利くベテラン所長を購買部長に任命し、全ての現場の折衝・取決めを任せた。短期間で、ある程度の利益を得られるようになったが…協力会社からは「現場担当者は誰なのか?」という声を良く聞くようになってきた。そして、「この所長は下請け任せが強く,厳しい発注に協力しようとしている我々の手戻りとか作業効率について考えてくれないので…」という声まで聞こえるようになった。

事例③:C社の場合(工事を下請け任せ)
C社は官公庁の土木が主流のゼネコンです。現場は2人以上の職員による管理・運営がなされているが、近年の書類作成やCADの図面作成などによりデスクワークが多く、協力会社には、ある程度の責任施行で任せていかなければならないと考えている。
会社からは、現場に対して実行予算以上に利益を求められるが、現場に行ける時間が少なく、現場で発生する手直しなどの生産性に関する不具合を主体的に防止する事が十分に出来ず、施行は職人任せ、利益は購買部での発注任せ。本来の施工管理としての現場の把握(品質・原価・工程・安全)に弱く、現場で発生する不具合は、すべて原価と連動し無駄なコストを垂れ流す事につながっているという事すら認識出来なくなってしまっている。

3つの事例を紹介しましたが、どう感じられましたか?自分自身いろいろ考えさせられた事例でした。現場の利益は…工程の短縮や工法の工夫、適正な変更契約等を前提とすべきではないでしょうか。それは現場の運営を積極的に協力会社と打合せを行いながら達成していく事だとも思います。現業に携わっている人であればなおの事、会社全体においても考えていかなくてはならない事だと思いました。皆さんで真摯に取組んでいきましょう。

 

2014年2月25日
上田 信和

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